“大工さん”は「子供がなりたい職業」で常に上位にランクインする花形の職業だが、大工の中でも社寺建築を専門とする職人が”宮大工”。「会社」を特集のテーマに取り上げた雑誌『ケトル』が、遠い昔から脈々と受け継がれてきた伝統工法の技術を学ぶ彼らの世界に潜入した。
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吉匠建築工藝(東京都八王子市)が生業としているのは、社寺建築を専門とする「堂宮大工」と呼ばれる職人仕事。高尾山のケーブルカー乗り場手前にある「高尾山不動院」本堂をはじめ、これまで60にものぼる寺社仏閣の再建工事を手掛けている。15歳の時に宮大工職人の世界に飛び込み、この道45年のベテラン宮大工である棟梁の吉川輔良さんはこう話す。
「この仕事の基本は木工だから、入ってきて一番初めに教えるのは道具作り。ノミでもカンナでも、自分の道具は自分で作るんだよ」
実際、親指大から超巨大なものまで、道具はすべて手作りするという彼ら。木工に関するあらゆる手仕事の技術の習得を求められる彼らは、家具作りはもちろん、彫刻などもお手のものだそうだ。
そして現在、ほとんどの一般住宅が、「プレカット」というカット木材で建てられるのに対し、宮大工が受け継いでいる伝統工法は、釘やビスなどの金物の代わりに、継手・仕口などを”栓”とか”楔”と呼ばれる入れ子構造によって建物を組み上げていく仕組み。
「プレカットでやってる大工は2~3年である程度できるようになるけど、伝統工法の職人は最低10年は修行を積まなきゃ何にもできない。自分で一から十までやるんだから、そりゃそうだよ」
と、プライドを滲ませる吉川さんの本棚には、仏教や神道など、宗教にまつわる本がぎっしり詰まっており、日本建築史の勉強も必須なのだそうだ。
◆ケトル VOL.04(12月15日発売/太田出版)
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