日本のネット広告 2014年は「オリジナルアニメ動画」に活路

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2013年のネット業界は「動画広告元年」と呼ばれ、動画のマーケットが大きく広がった。そんな状況のなか、2014年に日本の動画広告の主役となるのは「オリジナルアニメ」かもしれない。

“クールジャパン”への注目と比例するように、アニメを広告に生かす手法は、ここ数年で着実に増加している。もともとは人気アニメやマンガのキャラクターを企業が商品や広告に採用するという“キャラクタービジネス”としてスタートした。『鉄腕アトム』から『エヴァンゲリオン』まで、その流れは今でも盛んだ。

しかし一方では、アニメ作家や制作会社が企業のためにイチからオリジナルで作品(広告)をつくる例がどんどん現れている。2013年はまさにアニメ業界のトップクリエイターたちが広告の世界と急接近した1年だった。

ざっと並べるだけでも、

●メルセデス・ベンツがProduction I.Gと制作した「NEXT A-CLASS」
https://www.youtube.com/watch?v=EQq6Z4IowfY

●新海誠監督が手がけた野村不動産PROUDの「だれかのまなざし」
https://www.youtube.com/watch?v=mpwoGkKQDik

●映像プロダクション・ロボットが松山市の観光名所を舞台に制作した「マッツとヤンマとモブリさん 七つの秘宝と空飛ぶお城」
https://www.youtube.com/watch?v=uPZd4F9iSz0

●神風動画が理化学研究所のX線レーザー施設「SACLA」のPRを手がけた「未来光子 播磨サクラ」
https://www.youtube.com/watch?v=5G64-xD-mnw

●KDDIのプロジェクト「au未来研究所」のために神山健治監督が制作した「もうひとつの未来を。」
https://www.youtube.com/watch?v=htVm5EqEs6Q

これだけの「オリジナルアニメ」が広告として2013年に登場した。これは従来の広告とは違い、それ自体がひとつの「コンテンツ」としてネット上で鑑賞され、さらにSNSで拡散している。

アメリカでは2016年までに全広告フォーマットのうち10%以上を動画広告が占めるとの予測もある。そこでは従来のバナー広告のシェアに動画が置き換わるとされ、より能動的にネットユーザーがクリックしたくなるような、広告というよりも、コンテンツとして魅力的な動画であることが要求される。

そう考えたとき、日本における「オリジナルアニメ」という事例の増加は、「動画広告のコンテンツ化」に対するひとつの可能性と見ることができるだろう。前出の作品のなかでは、神山健治監督×KDDIのコラボ(au未来研究所)のように、動画だけでなく、キャンペーンの中身そのものにまでアニメを取り入れる広告も登場し始めている。

もはや日本の財産ともいえるアニメ。広告業界とアニメクリエイターたちの交流は、ネット動画がさらなる普及を遂げる2014年、より活発になっていくのは間違いない。

【関連リンク】
au未来研究所

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。