昨年8月にファースト・アルバム『amazing sky』を発表した片平里菜のニューシングル『誰もが/煙たい』が2月25日に発売された。今回収録されている2曲は、まさにタイトル通り「誰もが」「煙たい」というテーマに基づいて作られたもの。10代の頃から活動してきた彼女も22歳となり、曲作りにも変化は生まれたのだろうか? 現在発売中の『クイック・ジャパン』vol.118で、片平はこのように語っている。
「『amazing sky』には、10代の頃に作った曲だったり、昔のことを想って作った曲を入れたんですね。その頃は、『自分のアイデンティティってなんだろう』って考えていた時期だったので、作品にも葛藤が表れていると思うんですけど、アルバムを作ることである程度は消化されて。それで、もうすぐ23歳になるわけだし、今回は成長した姿を見せたいなぁと想って、自分のことを歌うだけでなく、物語を作るように歌を作ってみたいと考えたようなところはありましたね」
そのような過程を経て作られた今回のシングルは、「完全生産限定ライブDVD盤」も存在する。これまで、常に“孤独”と向い合って曲を作ってきた片平だが、彼女にとって“ライブ”はどんな意味を持っているのだろう?
「曲を作ることがとにかく好きなので、本当はそれだけでやりたいことが完結してしまうんですが、自分の世界だけで終わらせてしまうのはつまらないって思うし、やっぱり、その先の景色を見たいっていう欲もあるし、ライブは好きですね。新しい景色を見せてくれるから」
“景色”といえば、片平を語る上で避けて通れないのが、彼女が生まれ育った福島の景色について。昨年10月にアメリカを訪れた彼女は、改めて福島に思いを馳せたそうだ。
「ほんと、福島の田舎娘なんで、世界には宝物みたいな景色があるのにそれを見ないで死ぬのはもったいないなって。でも、帰ってきて、飯舘村で放射性廃棄物が至るところに山積みされている光景を見て。震災から4年も経つのに何も変わってない。福島が変わることは、世界が変わることだと思っているので、そういう、見て見ぬ振りをされている現実から目を逸らしてはいけないとも思います」
震災から4年。彼女もそれに合わせて年を重ね、「少しは大人になれたのかな? もっともっと成長していかないと」と語っている。
◆『クイック・ジャパン』vol.118(2015年2月13日発売/太田出版)
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