輸入品だったコンビーフ缶 明治時代に爆弾と間違えられ大騒ぎに

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最近、お惣菜のようなグルメ缶詰が流行していますが、缶詰界に君臨する絶対王者といえば、お肉がぎっしり詰まった「コンビーフ缶」。その完成度とボリューム感で他を圧倒するコンビーフ缶には、様々な人達の叡智が詰め込まれています。

まず、コンビーフの缶詰が特徴的な台形になったのは、肉をできるだけ真空状態でギュウギュウに詰めて酸化するのを防ぐため。昔は手作業で詰めていたため、より効率的な形が選ばれたというワケです。1875年の4月6日、アメリカで後のリビー社によってあの形が特許登録されたことから、4月6日はコンビーフの日となっています。

輸入品や進駐軍の食料品だったコンビーフ缶が、初めて国内で製造されたのは、戦後間もない1948年。当時の野崎産業から最初はびん詰めで発売され、2年後に缶詰になりました。そんな国産缶発売の30年前、明治43年には警察が大逆事件の容疑者の家で見慣れぬコンビーフの缶を見つけ、爆弾でないかと大騒ぎになったこともあったそうです。

初めて国産コンビーフ缶を発売した当時、発売元である野崎産業の予想以上に早く市場に浸透していったのは、戦地で食べていた男性たちが率先して購入していったからなのだそうです。野崎産業は高度経済成長期には国鉄線路沿いの電柱に「ノザキのコンビーフ」という看板を大量に設置。ビル街という戦場で戦う男たちを応援する味となったのでした。

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。