赤塚不二夫の名作『おそ松くん』が原作のTVアニメ『おそ松さん』は、深夜アニメという枠に留まらない大ヒットとなった。赤塚は2008年に鬼籍に入ったが、キャラクターデザインを担当する浅野直之は、どのような経緯でチームに加わったのだろう? 現在発売中の『クイック・ジャパン』vol.124で、彼はこう語っている。
「プロデューサーの富永(禎彦)さんとは昔から仕事をしていまして、俺がぴえろ(studioぴえろ)に2年くらい前から籍を置いて『NARUTO』をはじめいろいろやらせてもらっていたところに『おそ松くんをリメイクする』という話が聞こえてきまして。富永さんとは10年くらい前から知り合いでお互いどんなものが好きかよく知っていたので、『浅野さん、やりたいですよね?』と。断る理由がありませんでした」
そんな経緯でキャラクターデザインを担当することになった浅野だが、ご存じの通り原作の『おそ松くん』は6つ子が主人公の物語。『おそ松さん』は、「6つ子が20代になったら?」という物語だが、どのような点に気をつけてキャラクターを描いているのだろう?
「全員、頭が悪そうに描いています。これは誰かが言っていたことなんですけど、人間が『かわいい』って思う対象って、『バカっぽい』要素があるのではないかと。たとえば十四松のかわいさって、そっちですよね。かしこいやつだと、見ている側が警戒しちゃうじゃないですか。バカっぽいと危害を加えてこないだろうと思って安心できる。それがかわいさに通じているんじゃないかなと勝手に思って、なるべく頭が悪そうに描いてます」
初期段階では、頭身を調整したり個性をつけたりといったことで話し合ったものの、基本的には「自由にやっていい」と言われているという浅野。番組が終わってもまだまだブームは拡大しそうな勢いだが、視聴者に向けて、
「『おそ松さん』をきっかけに、原作マンガや他の赤塚作品に行く人が増えていると聞いています。自分としても、ぜひこのアニメを入り口に、アバンギャルドな赤塚作品も楽しんでもらえたらなと思っています」
と、語っている。
◆『クイック・ジャパン』vol.124(2016年2月23日発売/太田出版)
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