ユーカリしか食べないコアラ 選り好みが超激しい“わがままグルメ”

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動物園には色々な人気者がいますが、どの動物園でもトップクラスの人気を誇るのがコアラ。多くの人がご存じだと思いますが、コアラはユーカリの葉しか食べません。栄養価が低いだけでなく、食物繊維が多いために消化がしにくく、おまけに毒素さえあるユーカリを好んで食べるのは、ほかの動物と取り合いにならないからだといわれています。いわばコアラ独占の食べ物。しかしそんなユーカリを、コアラが“選り好み”していることは、あまり知られていません。

コアラが食べるユーカリは全部で30種類ほど。埼玉県こども動物自然公園のコアラ舎では、その中から1日に5、6種類を用意しています。その理由は、コアラが今日どのユーカリを食べるのか、飼育員の方々にもわからないから。コアラはユーカリがほかの動物に取られないことをいいことに、その日の気分に合わせて、かなり選り好みをして食べるのです。

実際に食事の時間に観察してみると、たくさん用意したユーカリの葉を、コアラがひとつひとつ嗅いでいることがわかります。そこに自分が食べたいユーカリがなければ、いくらお腹が空いていても関心を示しません。人間には何がどう違うのかわからないのですが、同じ種類でも、ある葉は食べなかったり、別の葉はむさぼるように食べたりします。昨日は食べなかったのに、今日は食べているなんてこともしょっちゅうです。

しかも、毎日たくさんのユーカリをそろえておくのは大変。コアラに食べてもらうためだけに、日本各地の農家と契約して、約20種類のユーカリを育ててもらっています。それだけの手間がかかるため、コアラは「動物園の中でもっとも飼育にお金がかかる動物」といわれています。

これほど苦労しているというのに、コアラは今日のユーカリを気に入らないと、ぷいっと横を向いてしまい見向きもしません。それでも愛らしい姿を見ていると、飼育員の方々も、「かわいいからしょうがないな」と思ってしまうそう。どれだけグルメでも許される、まさに「かわいいは正義」を体現している動物なのです。

◆ケトル VOL.33(2016年10月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。