あの水道橋博士が「NEXT 荒俣宏」と激賞する男、丸屋九兵衛(まるやきゅうべえ)。音楽雑誌『bmr』編集長にして文筆家、ラジオDJとしても知られる彼の興味の対象は、ヒップホップ、Pファンクなどのいわゆる「ブラックミュージック」から、SF、世界史、果ては腐女子系コミックまで多岐にわたる。
そんな21世紀を生きる博覧強記の人・丸屋が、4月2日(日) に、渋谷のレッドブル・スタジオ東京ホールにて、トークライブ【Q-B-CONTINUED 】を行った。「プリンス」「猫」という2つのテーマを設定し、ダブルヘッダーでの開催となった【Q-B-CONTINUED 】。今回は、その模様をかいつまんでお伝えする。
■【Q-B-CONTINUED vol.16】著書爆誕記念! 「プリンスの決めゼリフは4EVER」祭り
第1部【Q-B-CONTINUED vol.16】は、丸屋の新著『丸屋九兵衛が愛してやまない、プリンスの決めゼリフは4EVER(永遠に)』発売を記念するものということで、もちろんテーマは天才ミュージシャン「プリンス」。当日、トークショーの会場となったレッドブル・スタジオ東京ホールは、殿下(※プリンスの愛称)のイメージカラーである紫のアイテムを身に纏った観客で満員となった。
通常は非常に作り込んだトークショーを行う丸屋だが、今回は場のムードを読みつつ、フリースタイルモードで話すと宣言。R&B歌手ベイビーフェイスはじめプリンス周辺のアーティストについてのトークから、ジャネル・モネイへと受け継がれた「由緒正しい異端黒人の髪型」、ティッパー・ゴアに歌詞検閲制度を決意させたプリンスの楽曲「ダーリン・ニッキー」など、ブラックカルチャー全般への造詣が深い丸屋ならではのトークが怒涛のごとく展開された。
もちろんお家芸(?)である大脱線トークも健在だ。ブラックカルチャーへの無理解が引き起こす誤訳問題から、モトリー・クルーと2ライブクルーのオゲレツ歌詞、プリンスの元カノでもあるバニティが80年代に主演したモータウン制作のカンフー映画など、単体でトークテーマになりそうな特濃トリビアを連発し、聴衆を時に唸らせ、また時に爆笑の渦に叩き込んでいた。
第1部のラストも、脱線トリビア話で締めくくられた。
「黒人は仲間のことを”ドッグス”って呼んだりするんだけど、プリンスって知り合いからも”キャット”って呼ばれてるんです。理由は第2部で!」(答えは本記事の最後!)
■【Q-B-CONTINUED vol.17】『ねこネコ猫パラダイスwithサンキュータツオ』
トークショー第2部となる【Q-B-CONTINUED vol.17】のテーマは、なんと「猫」。ここからは「猫の奴隷」を自認する芸人のサンキュータツオと共に、深遠なる猫の魅力について語っていくという展開だ。
第二部の前半は「人類にとってのネコ」を文系方面からとらえるというもの。愛猫コメディ映画「キアヌ」の紹介から、9000万匹の猫が飼われているというアメリカ、猫を愛しすぎてミイラにした古代エジプト、世界に先駆けて猫カフェが登場した台湾など各国の猫事情を紹介した。
さらには、丸屋の猫本コレクションの紹介を通じて、『長靴を履いた猫』をアレンジした絵本『くつやのねこ』、アニメ化も予定されている猫版指輪物語『テイルチェイサーの歌』、猫型異星人クジンが登場するSF作品『リングワールド』などの作品を解説。熱心にメモを取る観客の姿が印象に残った。
第二部後半は「科学面から読み解くネコ」をテーマに「生物としてのネコ」の真実に迫るという内容。話題は、ハンターとしての猫、肉以外の味に鈍感な猫の味覚、猫の食生活のほか、DNA分析の発達に伴う動物分類の変化に及び、さらには、ピューマ、ジャガー、チーターなど、名前と姿が一致しにくいネコ科動物の特徴を解説。単独で狩りをするネコ科の動物の中にあって、唯一群れで生活するライオンの残酷性を紹介し、「やっぱり群れてるやつって嫌だよね!」と締めくくった。
なお【Q-B-CONTINUED Vol.16】は、4月22日、23日の両日に、名古屋、大阪でも出張開催されるとのこと。お近くにお住まいの皆さんは、スーパーウルトラ教養人・丸屋九兵衛のトークを体験してみてはいかがだろうか。
※答え:「黒人英語では、親しい友達を”ドッグ”、距離を感じる人の事を”キャット”と呼ぶ。プリンスは周りの人間と距離を置くタイプ。気ままで謎めいていて制御不能という点でも猫と共通している。だからプリンスは常に”キャット”。」(※丸屋談)
【関連リンク】
・丸屋九兵衛公式サイト
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