壮大なスケールで描かれたドラマ『北の国から』の舞台は北海道の富良野。現在では一大観光スポットとして大人気ですが、中でも夏の富良野といえばラベンダーが有名です。畑の一面に紫の花が咲き誇る光景は「紫色の絨毯」とも称され、ドラマの名場面も彩ってきましたが、なぜ富良野はラベンダーが名物なのでしょうか。
富良野のラベンダーは北海道ではなく、主にフランス南部が原産地。それが日本に持ち込まれたのは1937年のことで、化粧品の原料に花のオイルを使うためでした。全国での試験栽培の末、北海道の風土がもっとも適していると判明。戦後にはオイルの生産が本格化していきました。この盛り上がりに目をつけたのが、富良野在住の上田美一さんという方。町をあげた協力をとりつけ、ラベンダー栽培を富良野の一大産業に育て上げたのです。
その後、70年代にラベンダーオイルの需要は下火になりますが、ファーム富田の富田忠雄さんが、「ラベンダー畑の美しい風景を残したい」という一心で栽培を続けます。転機は1976年。ファーム富田のラベンダー畑の写真が国鉄(現在のJR)のカレンダーに採用され、その景色を撮影しようと全国からカメラマンがやって来たのです。
それが新聞や雑誌でも紹介されると、さらに富良野を訪れる人は増加。今で言えば、「インスタ映え」で地域振興に成功したようなもの。以降、ラベンダーは町の貴重な観光資源となりました。ファーム富田では、最盛期には周辺が渋滞になるほどの人で賑わいます。
◆ケトル VOL.41(2018年2月14日発売)
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