〈「MSVをありがちなプラスチックモデル記録全集(いわゆる完成見本の写真記録集)ではなく、ジャーナリズム視点に基づくドキュメントとして一冊の単行本にまとめてみたい」
こうした思いをかれこれ20年近く以前から抱いていた。もっとも、厳密に言えば「まとめてみたい」というよりも「きちんとまとまったものを読んでみたい」と言ったほうが正しく、そのときはそれを行うのが自分になるとは微塵とも考えていなかった。
それゆえに「いつか誰かがまとめてくれるだろう」と人任せで考えていたのだが、いつまで経ってもMSVのことを俯瞰視点で再整理した記事や書物が現れない。そこへの悶々とした思いは少しずつ、だが着実に膨らみ続け、ついにはいよいよ「これはもう自分が動くしかない」という結論へ至ったということになる。〉(プロローグより)
5月17日(木)に発売された『MSVジェネレーション ぼくたちのぼくたちによるぼくたちのための「ガンプラ革命」』(あさのまさひこ・著/太田出版)は、プラスチックモデルシリーズ「MSV(モビルスーツバリエーション)」の誕生から35年が経過した今、MSVを紐解いたドキュメントだ。
MSVは、バックボーンとなる映像作品を持たず、主にモビルスーツのデザイン画と文字設定(機体解説と戦記)だけで展開された脆弱な企画だったが、1983~84年にかけて大ブームに。日本全国の小学生~大学生から圧倒的な支持を得た。
同書は、ガンプラブームが社会現象と化した81年春から、ガンプラ革命の終焉まで、流れに沿ってブームを回顧。特別企画では、『GUNDAM CENTURY 宇宙翔ける戦士達』編集長の大徳哲雄氏、「黒い三連星仕様ザクⅡ」設計者(元バンダイ)の村松正敏氏にインタビューし、ガンプラに費やした思いを尋ねている。また、カラー巻末には、MSV全34種のパッケージと組み立て後のモビルスーツが集結。ガンダムファンもモデラーも必見の1冊は、発売前重版がかかるなど、話題になっている。
『MSVジェネレーション ぼくたちのぼくたちによるぼくたちのための「ガンプラ革命」』(あさのまさひこ・著/太田出版)は、2018年5月16日(水)発売。本体2700円+税。
【関連リンク】
・MSVジェネレーション ぼくたちのぼくたちによるぼくたちのための「ガンプラ革命」-太田出版
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