『ムー』編集長 「大げさに言えば、『哲学の雑誌』だと思っています」

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1979年の創刊以来、世界の謎と不思議に挑戦し続け、さまざまな話題を振りまいてきた『ムー』。この長寿雑誌の5代目編集長を2005年から務めている三上丈晴さんは、特徴的なサングラス姿でテレビ番組にもたびたび出演する名物編集長として知られています。

実は三上さんは、入社1年目に『ムー』編集部に配属されて以来、27年間にわたって同誌一筋。誰よりも『ムー』を知り尽くす人物です。そんな三上さんに『ムー』とはどんな雑誌か聞いてみたところ、開口一番、「『ムー』はよく誤解される」という意外な答えが返ってきました。

「よく『オカルト雑誌』と言われますが、オカルトとは本来、魔術や心霊など神秘的なものを指します。ならば、ツチノコはオカルトか? UFOは? ピラミッドは? どれもオカルトという呼び方はしっくりきません。都市伝説も当てはまらないですよね。でも、『ムー』はこれらすべてを取り上げてきました」

だとしたら、『ムー』は何を扱う雑誌なのでしょう?

「大げさに言えば、『哲学の雑誌』だと思っています。『ムー』を科学的じゃないと批判する人がいますが、そもそも科学で何でも説明できると思っていることが間違い。科学的であることにこだわる人は、『1+1=2』と言います。では、『12+1』は?」

普通に考えれば、答えは当然「13」 ですが……。

「答えは『1』です。バカにされたような気分になりますよね。でも、この考え方をみなさんは毎日使っています。時計ですよ。12時の次は1時になる。見方が変われば答えは変わります。『12+1』は『13』であり、『1』でもある。このように科学的な事実をいくら積み重ねても、真実にたどり着くとは限りません。

死後の世界はあるのか? 神はいるのか? そうした問いは事実を扱う科学の範疇ではない。しかし『ムー』は扱います。つまり、事実ではなく『真実』を追求する雑誌という意味が、『哲学の雑誌』という言葉には込められています」

上手く煙に巻かれたような気もしますが、「哲学」と言われれば納得できるのも事実。雑誌が40年間も続いたのは、そういった確固たる信念の賜物だとも言えそうです。

◆ケトル VOL.43(2018年6月15日発売)

【関連リンク】
ケトル VOL.43(ムー特集号)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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