6月に公開された映画『X-MEN:ダーク・フェニックス』は、これまでのシリーズ作品の累計興行収入が数十億ドルという超大ヒット作の最終作。『スパイダーマン』『アイアンマン』『ハルク』『ソー』『アントマン』など、数々のキャラクターを生み出し、“マーベルコミックの神様”とも称されるスタン・リーの作品です。同シリーズは、たくさんの“遊び”も組み込まれていたのは映画ファンには有名なこと。トリビアをいくつか紹介しましょう。
【名前がスタークのアナグラムになっている】
『フューチャー&パスト』に登場する天才科学者のボリバー・トラスク博士は、ミュータントを人類の敵と考え、彼らを撲滅するために「センチネル」という強力なロボットを開発。しかしセンチネルはミュータントだけでなく、彼らを産む可能性がある人類もターゲットにし始め、世界が荒廃する原因になります。
人類を守るための発明が世界の脅威になるという筋書きは皮肉なものですが、これは同じマーベル作品である『アイアンマン』のトニー・スタークが抱えたジレンマ(アメリカを守るために強力な兵器を開発するほど、人々を苦しめるためにも使われてしまう)と似たところがあります。
しかも、この2人の互いの名前の綴りは「Trask」と「Stark」でアナグラムになっているのです。偶然と言われていますが、あまりに良くできた話のため、ファンのさまざまな憶測を呼んでいます。
【自由の女神が示す過去作とのつながり】
『ローガン』の劇中にはプロフェッサーXがウルヴァリンに、「自由の女神でお前を待っている人がいる」と予言するシーンがあります。実際の場所は「自由の女神が看板に描かれたモーテル」でしたが、予言を聞いたウルヴァリンは、「自由の女神は過去のことだ」と答えます。
これは何かというと、シリーズ1作目の『X-MEN』において最後の戦いの舞台がニューヨークの自由の女神だったから。特に説明のない返答ですが、これは過去作から映画内の時間がつながっていることを示すセリフだったのです。
【あの名作映画とポスターがそっくり】
もうひとつ『ローガン』のトリビアを。同作の有名なポスターには、子供が爪をむき出しにしたウルヴァリンの手を握っているものがあります。これは映画『シンドラーのリスト』のポスターからインスパイアされたデザイン。両作は物語の構造にも類似点があり、『シンドラーのリスト』は無実のユダヤ人たちの命をナチスから救う男の話、『ローガン』は無垢な子供たちを悪の手から救う男の話となっています。
【間違って髪を剃ってしまった!】
若き日々のプロフェッサーXを演じているジェームズ・マカヴォイ。この役に初めて抜擢された『ファースト・ジェネレーション』では、それまでの作品でプロフェッサーXがスキンヘッドだったことから、役作りの一貫として髪を剃ります。しかし後に若い頃の彼は髪がふさふさだったという設定になると知り、撮影初期はかつらで演じることになったそうです。
【あなたはわかった? スターのカメオ出演】
ほとんどすべてのシーンに何かの小ネタが仕込まれている『デッドプール2』ですが、ここでは集中して観ても気が付きにくいトリビアを紹介。それはカメオ出演に関するもの。同作には2人のハリウッドスターが出演しています。
ひとりはブラッド・ピット。バニッシャーという暗殺者を演じたのですが、身体が透明で声も発さないという設定のため、姿が確認できるのは感電により死亡する際の一瞬のみ。ちなみにギャラは「スタバのコーヒーを主演のライアン・レイノルズが買ってくること」。ブラピ自身はジョークのつもりでしたが、実際にレイノルズは撮影中に自分で買いに行ったそうです。
もうひとりのスターとはマット・デイモン。こちらはしっかりセリフもあるし姿も映るのですが、特殊メイクにより本人の面影がまったくない状態で出演(ケーブルがタイムスリップしてきたシーンでトイレットペーパーについて熱弁する中年男性)。しかもエンドロールでも、ディッキー・グリーンリーフという、映画『リプリー』で演じたキャラクターの名前でクレジットされているほどの念の入れようでした。
同作には一瞬X-MENのメンバーも出演。これは『デッドプール2』の撮影が終了後に、最新作『X -MEN:ダーク・フェニックス』の撮影現場で撮った映像をあとから合成することで実現したとのことです。
◆ケトルVOL.49(2019年6月15日発売)
【関連リンク】
・ケトル VOL.49-太田出版
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