時効警察・三木聡監督 12年ぶりの復活で感じた「時の流れ」

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時効警察シリーズの12年ぶりの新作『時効警察はじめました』が10月11日にスタート。12年ぶりの復活にも驚かされましたが、もう1つの驚きが主人公・霧山修一朗(オダギリジョー)の設定です。その設定とは、「アメリカのFBIに出向するも、再び総武署の時効管理課に配属された」というものですが、なぜこのような設定になったのでしょうか? 『ケトルVOL.50』でシリーズ総監督の三木聡さんはこう語っています。

「控えめな奴に見えて、霧山は優秀なんです。誰も真相に辿り着けなかった事件を解き明かすことができる、ずば抜けた推理力があるわけですからね。しかもそれを趣味でやっている。とても優秀でしょう。FBIからスカウトされてもおかしくない。ただ、『FBI帰り』の設定は、昔自分が聞いた話も影響しています。どうやら、知り合いの同級生が公安警察からFBIに行ったらしくて、その話が頭の片隅に残っていたんです。12年の歳月を考えたときに、そんなことも起きるのかなって」

12年もの時間が経てば、色々なことが起きるという当たり前のことが設定にも反映されたということ。演出方法も12年前と同じではないという。

「今作は、これまでよりも時効管理課の面々が一斉に何かを言い出したり、ある一定の法則に従いながら動きが起こるようなシーンが多いんです。例えば、諸沢(光石研)に向かって全員でガチャガチャとツッコミを入れるとかね。事細かい段取りと複雑なカメラワークの中で、自分の芝居を成立させる力が全員あって、みなさん本当に達者。最初は無理のある動きであったとしても、ものにしてしまう。動きの繋がりに軸を置いた多動症気味の時効管理課の良し悪しは、ご覧になってご判断いただければ」

そして今作では、新たに吉岡里帆と磯村勇斗がメンバーに加わった。彼らの加入は作品に何をもたらしたのか?

「吉岡さんは『音タコ』(映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』。2018年公開)でも一緒にやったけど、自分で芝居を組み立ててくる人ですね。役や設定に呑まれない自然な演技ができる人で、彼女の役者としてのクリエイティビティはすごいなと素直に思います。磯村くんは、言葉の意味を的確に伝えてくる人だなと思いました。彼とは今回が初めてですが、『なぜこのセリフを言うのか』『なぜこうやって動くのか』という意味を正確に表現している」

三木さんは、彼らの加入を「バンドに新しいメンバーが入ったようなもの」と述べ、「以前よりもサウンドに厚みが出ている」と表現。第4話以降も必見の内容になりそうです。

◆ケトルVOL.50(2019年10月16日発売)

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ケトルVOL.50

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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