昨年の『M-1』で優勝し、一躍注目の存在となった霜降り明星は各々、高校時代からお笑いコンテストに出ていた経歴の持ち主。粗品はピン芸人としてデビューし、同世代をリードする存在だったが、なぜ、せいやとコンビを組んだのか? 2019年8月24日発売の『クイック・ジャパン』vol.145で、粗品はこのように語っている。
「最初は『ハイスクールマンザイ』という、同世代の人間しかいないところで会ったんですよ。周りひとりもオモロいやつおらんなって思ってた中、こいつだけはちょっと面白いって思えたのがせいやだった。それですぐ連絡先交換して」
もともとコンビを組みたかったのではなく、せいやだからコンビを組みたかったと語る粗品。実際にコンビを組んでみると、「さすが面白いこと考えてくるな」と、感心させられる毎日だったという。そんな粗品が大事にしているのは、誰にも似ていないことだという。
「発明を絶対したいなと思ってて。何個かは生んだと思ってます。ツッコミにポーズを必ずつけて、体言止めでツッコむというのは、1個発明ですし。相方ひとりが動き回って、上手と下手どこに相方がいても、僕が真ん中でツッコむ、っていうのも、今までになかったやり方だと思います。で、僕たちは同時にボケツッコミをすることがあるんですね。『7代目ひょうきん者』っていうボケがあるんですけど、せいやの動きと一緒に、僕が実況のように言う。これも自分らの中ではかなりの発明だと思ってます」
オリジナリティへのこだわりを示す粗品。しかし、彼の“代表作”の体言止めのツッコミが、彼のものとして世に出るまでには、知られざる苦労があったそうだ。
「(僕らのようなことを)はよやられるんちゃうか、っていう焦りはありました。正直、劇場で毎日『M-1』の練習をやってたので、無意識に違うコンビが僕のツッコミの感じになってたりするんですよ。そいつに先に『M-1』に行かれたら、結局僕らがパクりっていわれるじゃないですか。それはどうしても避けたかった」
パクることも辞さぬ芸人も多い中で、 あえて“発明”にこだわる粗品。「全員が認めてくれるコンビになりたい」という野望を持つ彼が、これからどんな発明を生み出すのか、興味深く見守ることになりそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.145(2019年8月24日発売/太田出版)
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