雁須磨子×よしながふみ対談 40代女子は「久しぶりの友達」とどう接する?

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雁須磨子がOhta Web Comicで連載中の『あした死ぬには、』(太田出版)の第2巻が、1月17日に発売されることが決定。第2巻に収録される「よしながふみ×雁須磨子 ロング対談」の一部が太田出版ウェブサイトで公開されている。

『あした死ぬには、』は、「身体の調子が悪いのに、ライフスタイルを変えられず、なんだか苛々してしまう」「子育てが一段落してパート勤務を始めた」「無職で実家に引きこもり」──40代女子が直面する悩み、戸惑い、人生の岐路を、コミカルであたたかなタッチで描写した作品だ。「このマンガがすごい!2020」オンナ編では第3位にランクイン。

「すこやかに明日を生きていくための必読書」(an・an)
「40代女性の体と気持ちの変化を丁寧に描き、連載開始当初から『わかる!』と共感の声」(ダ・ヴィンチ)
「人はそれぞれ自分にしか味わえない人生を歩んでいる。その事実を肯定してくれる柔らかな力強さが本作にはある」(朝日新聞)

など、各方面から絶賛の声が寄せられている。

40代女子の悩みの1つが、「昔の友だちとの付き合い方」だが、10代の頃から、長く温かな付き合いを続けてきたよしながと雁は、どういうスタンスで昔の友人と付き合っているのか? 対談の一部を紹介しよう。(※一部ネタバレを含みます)

 * * *

◆久しぶりの友達からの連絡

よしなが(以下「よ」):『愛すべき娘たち』で描いたような同級生からのハガキを、私本当にもらったんです。『西洋骨董洋菓子店』で賞をいただいた時に、ちょうど30歳くらいの頃だったんですけど、新聞か何かに記事が載ったのを見て友達が「おめでとう」って突然ハガキをくれたの。

雁:学校の時の友達?

よ:うん。マンガとほぼ同じ文面で、「高校の時一生懸命男女平等の話とかしたようにはうまくいってないけど、それでもなんとか仕事は辞めないでがんばってるよ」みたいなことが書いてあって。なんか涙が出そうになるほど嬉しくてね。きっと若気の至りみたいなことも言ってただろうに、そんな昔のことちゃんと覚えててくれて真面目に受け止めてくれてたんだなあって。

雁:優しいハガキですね。そういう会話ってやっぱりずっと覚えてますよね。

よ:あ、でもこの話には愉快なオチもあって。すぐに連絡して会ったら、彼女は単に藤木直人さんのすごいファンで、『西洋骨董洋菓子店』のドラマの裏話を聞きたかったっていう(笑)。

雁:ウィンウィンじゃないですか(笑)。

よ:ウィンウィンですよね。あの優しいハガキはそういう事だったんだって私もちょっとほっとして。すごく嬉しかったです。『あした死ぬには、』で本奈さんに手紙が届いたみたいに、雁さんもこういうことあったりした?

雁:私は割と自分が連絡をするほうです。なんでかよくわからないんだけど、節目節目に小中学校の時の同級生たちに会いたくなるんですよね。急に電話をかけて、「明日が結婚式なの」って言われてウソーと思ったり、……宗教と間違えられたり(爆笑)。

よ:急に連絡するから(笑)。

雁:なんか、ふっと思いつくんですよ。「会うまですごく怖かったの~、何を言われるんだろうって思って」って言われたりして(笑)。学生の頃は、みんなとまんべんなく仲がいいタイプで、すごく仲いい子っていうのは特になかったから。

よ:じゃあ本当に『あした死ぬには、』の本奈さんと塔子さんの間柄くらいというか。名字覚えてるかなっていうくらいの関係。

雁:私は密度より時間で攻めていくタイプなんだと思います。ずっと変わらない距離感で長くいられる人が仲いい人。10年ごとくらいになんとなく連絡してみたくなる時期があって、その都度そういうテーマのマンガは描いてて。急に昔の友達に会いに行ってどうこうするみたいな話は割と好きなんです。

最近だと、ちょうど『あした死ぬには、』を描いている時に中学の同級生からメールが来ていることに気がついて。お正月に来たメールを夏返すみたいな感じで、連絡したら会うことになったんですね。おめかしして行ったら、向こうからさっぱりした昔と変わらない友達がやってきて「私気負ってた…?」って。

よ:あ、私もやっぱりおめかしして行った! また、本奈さんみたいに外で働いている人ともマンガ家って違うスタンスじゃないですか。こんなことでもなければお化粧もしないし、ちょっとがんばりすぎるんだよね。

雁:どう思われるかってね。私は自分ではあまり変わらないと思っていて、意外と相手に対しても変わらない部分を見ちゃう。変わってたら変わってたでちょっと面白いですしね。

よ:うん。だからやっぱり『あした死ぬには、』ではこのお友達と会う話がとっても心に残りましたね。すごく他愛ない話をしながら楽しいなあって思ってるじゃないですか。もう大爆笑みたいな話をする必要は全然ないのよね。

雁:あの人どうしたの、って思い出話だけで3日ぐらいは費やせる(笑) 。

よ:この「20歳の男に言い寄られたら多子ちゃんならどうするみたいな……」って言われた時の本奈さんの顔も好きなんです。「な」っていう(笑)。

『あした死ぬには、』1巻より (c)雁須磨子/太田出版

 * * *

対談の本編はこちら(http://www.ohtabooks.com/press/2020/01/10110000.html)。後編は1月17日(金)に公開される。『あした死ぬには、 2』は2020年1月17日(金)発売。1200円+税。

【関連リンク】
あした死ぬには、 2-太田出版
【前編】よしながふみ×雁須磨子 ロング対談「わたしたちのきのう・きょう・あした」-太田出版
あした死ぬには、-Ohta Web Comic

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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