Licaxxxは、東京を拠点に活動するDJ、ビートメイカー、編集者、ラジオパーソナリティ。そんなLicaxxxの連載『マニアックの扉』がワンテーママガジン「ケトル」にてスタートした。第4回目は地点代表、演出家の三浦基さんに会いに行く。代表作にチェーホフ作『三人姉妹』、イェリネク作『光のない。』『スポーツ劇』などがあり、京都市芸術新人賞、読売演劇大賞選考委員特別賞、ほか受賞多数。4月からはロームシアター京都館長も務める三浦さんが考える演出とは?
「ケトルVOL.52」及びnote(https://note.com/kettlemagazine)で連載中の一部を紹介。
Licaxxx:私はDJを、1を10にすることを意識してやってきて……これって演劇の演出と似ているところがありませんか?
三浦:基本は一緒かもしれない。ものありき、条件ありきの編集だから。
Licaxxx:空間現代と地点の舞台ですごくそれを感じました。
三浦:最初は2013年の『ファッツァー』だね。彼らが京都に引っ越してくる前で、地点の事務所がある町家に泊まってもらって、合宿状態で作った作品。俺がまかないも作って(笑)。
Licaxxx:おお。稽古はどこから始めるんですか? あの音はどう加わっていくんでしょう?
三浦:う〜ん……やってるうちに決まると言えばいいのかな。空間現代に稽古場でよく言われるのは「リフができていないからちょっと待ってください」って。でも演出的には、時間軸での音楽の関わり方に興味がある。彼らにしてみたら、リフができていないと時間軸だって作れない……ってことなんだろうとは思うんだよね。でもそこを、待たないよ、適当でいいからって無理やり(笑)。
Licaxxx:(笑)。
三浦:そうやって彼らと作り上げていくのはとにかく幸せな時間だよ。でも、「どう作るんですか?」っていう質問は、空間現代に聞いてもらった方がいいかもしれない。
Licaxxx:なるほど。
三浦:「むちゃぶりです」って即答すると思う(笑)。
Licaxxx:でも地点の舞台は、音楽と台詞の呼応もあるようにれるから不思議で……。
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◆三浦基の扉のカギ
ボリショイ・ドラマ劇場(BDT):
ロシアで「文化の首都」とも呼ばれるサンクトペテルブルクを代表する劇場。決して万人向けとは思えないようなレパートリーにも、劇場は連日観客で溢れ、数々の賞を受ける作品の評価も高い。ビジネスと創作の両面で大成功を収めながら、ブランドを確立した稀有な劇場。ここで、2020年6月に三浦基演出の『罪と罰』が上演され、同劇場のレパートリーに加わる。
『罪と罰』:
トルストイとともに19世紀ロシア文学を代表する作家、ドストエフスキーの代表作。舞台は帝政のサンクトペテルブルク(作家の死後の「二月革命」でその体制に終止符が打たれる)。殺人、テロ、幼児虐待など現代の問題を先取りしていた彼の小説群のなかでも、主題のみならず、殺人事件とその謎解きの組み立ては、後世の推理小説に大きな影響を及ぼしたとされる。
外:
スリーピースバンド「空間現代」が主催・ディレクションするライブハウス。アトリエ「アンダースロー」を構えている京都の劇団「地点」との出会いがきっかけとなり、2016年に京都へ移住して「外」をオープンさせた。スタジオとして楽曲制作・録音などを日々行い、ライブ会場としては、国内外問わずさまざまなアーティストの招聘プログラムを展開。
【プロフィール】
Licaxxx/DJ、ビートメイカー、編集者、ラジオパーソナリティ。2010年にDJをスタート。マシーンテクノ・ハウスを基調にしながら、ユースカルチャーの影響を感じさせるテンションを操り、大胆にフロアをまとめ上げる。イベント出演のほか、ビデオストリームラジオ「Tokyo Community Radio」の主宰、アンビエントを基本としたファッションショーの音楽など多数制作。
◆ケトルVOL.52〈2020年2月15日発売〉
【関連リンク】
・ケトル VOL.52-太田出版
・雑誌「ケトル」編集部- note
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筆者について
Licaxxx
りかっくす。DJ、ビートメイカー、編集者、ラジオパーソナリティ。2010年にDJをスタート。マシーンテクノ・ハウスを基調にしながら、ユースカルチャーの影響を感じさせるテンションを操り、大胆にフロアをまとめ上げる。イベント出演のほか、ビデオストリームラジオ「Tokyo Community Radio」の主宰、アンビエントを基本としたファッションショーの音楽など多数制作。