Kemio 「不安が強くなるときにこそ、優しくできる人が増えたらいいな」

スポンサーリンク

画面越しにシェアハピ(=シェア ハピネス)なコンテンツを提供し、視聴者をポジティブな気持ちにさせてくれるYouTuber・kemioさんは、今年4月にInstagramで、ライブ配信機能を用いたコラボ企画「ウチらのおうち時間」を発表しました。5日間連続で開催されたこの配信企画は、渡辺直美さんや水原希子さんなど豪華なメンツが揃いましたが、なぜこういった企画が生まれたのでしょうか? ケトルVOL.54(2020年6月16日発売)で、このように語っています。

「暗くて不安なニュースが続いてて、自分もみんなも気持ちがサゲになるなって。『これからどうなるんだろう』って不安に思っている方もいらっしゃると思ったんです。所属事務所のエレベーターで突然このアイディアを思いついて、すぐに『やろう~!』って動きはじめました。

もともと海外のセレブリティが毎日いろいろな人とコラボしてトーク配信をしているのは観ていたし、SNSで活動している自分に今できることはこれだと思って。ゲストは以前から交流のある方や、コロナに関してご自身のSNSで発言をされている方にお願いしました」

個性的なゲストたちと一緒にメイクをしたり、英語で話したり、Instagramのフィルターで遊んだり。実は、ゲストの皆さんとは事前に内容の打ち合わせをほとんどせず、本番を迎えたそうです。

「最初はゲストと一緒に運動の方法をシェアしたり、何かを紹介したりすることも考えていました。配信日ごとにテーマも変えようと思っていて。でもInstagramのライブ配信は気軽にできるのがいいところ。企画の構成とか難しいことを考えず、フランクにいこうと思いました」

4月末の取材時には、すでに自宅で楽しく過ごす方法を確立させつつあったkemioさん。自宅待機期間中も、SNSやYouTubeのチャンネルではご自身の「おうち時間」の過ごし方を発信し続け、家での感染予防対策のルーティンを行う姿を見て、影響を受けるファンも現れましたが、啓発のつもりで情報を発信しているわけではないそうです。

「コロナの話に限らず、僕が何か発信しているときって『ねえ見てこれ!』と何かをシェアする感覚なんです。自分の生活の中に定点カメラがあるようなテンションだと思います。僕は教える立場の人間ではないし、押しつけみたいなことはしたくないんです。だから手の洗い方も買ってきた商品の拭き方も、絶対『こうしたほうがいいよ』という言い方はしない。あくまで『僕はこうやってるんだ』という表現をしています」

“シェアハピはするけど、押しつけはしません”というkemioさん。コロナ後に関しては、このように考えているそうです。

「少なくとも今までの生活とはガラッと変わるはずなんです。元通りの普通が戻ってくるのが一番の幸せですが、いつ戻ってくるのかも予測できなくて。コロナの影響を受け『目に見えない敵が怖い』とはすごく感じたので、コロナの終束直後、世の中もすぐには『ライブに行きましょう』『クラブでダンスしよう』『旅に出よう』とは盛り上がらないんじゃないかなって思います。

そういうわからないことがあるほど不安が強くなってきて、人に強く当たる瞬間が増えてしまう。けど、そういうときだからこそ優しくできる人が増えたらいいな、とは今回のコロナで思いました。僕もそういう気持ちでシェアハピをしていました。これからも大変な状況に陥ったとき、自分だけじゃなくてみんなが大変なのだということを、ひとりひとりが考えられたらいいなと思います」

コロナを巡る状況はなかなか好転しませんが、「そういうときだからこそ優しくできる人が増えたら」というメッセージは、きっと多くの人に届くはず。こういう時期だからこそ、ポジティブな気持ちにさせてくれるkemioさんの動画は貴重。今後ますます要チェックになりそうです。

◆ケトルVOL.54(2020年6月16日発売)

【関連リンク】
ケトルVOL.54

【関連記事】
「時が経つのを忘れる」は何よりも幸せ? 「没頭」は幸福の要素の1つだった
名匠ロブ・ライナー監督が『スタンド・バイ・ミー』で見つけた“自分のスタイル”
日本の中高の教室には身分制が存在 「3割は被差別階級」の実態
日米比較 「インスタ映え」から考える女子文化の違い

※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

関連商品
ケトル VOL.54
太田出版