chelmico コロナ禍で気付いた「ライブができることのありがたみ」

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RachelとMamikoからなるラップユニットchelmico。2018年のメジャーデビュー以来、爽健美茶のCMソングや、アニメ『映像研には手を出すな!』のオープニング曲など、次々と話題の曲を発表してきましたが、出演予定だったツアーやフェスはコロナ騒動でのきなみ中止になってしまいました。全国を回るはずがステイホームになってしまいましたが、この時間をどのように過ごしたのでしょうか? 『ケトルVOL.54』(2020年6月16日発売)で、このように語っています。

Mamiko 「こういう状況になる少し前に、宅録できる環境を2人それぞれに整えたんです。だから今は、家に篭りながら曲作りに励んでいます」

Rachel 「時間に余裕ができたから、リリース関係なく楽曲を作ることも増えていて。ライブがあると集中力が分散されるので、頭を制作モードに切り替えるのに時間がかかっていたんです。でも、今はそれがないので余計に専念できますね」

ゆっくり音楽と向かい合う時間が出来たことで、「1930~40年代のフランス音楽がすごく好み」(Rachel)、「レゲエが好きなことに気づきました」(Mamiko)と、好みの幅は広がったのだとか。メンバーやスタッフが集まれなくなったことで、制作の方法に変化はあったようです。

Mamiko 「私たちの楽曲って自分のラップパートをそれぞれに作って、サビだけ2人で集まって詰めていくスタイルなんです。だけど、サビもどっちかが持ち寄ったリリックやメロをアレンジして作っていたので、集まれなくなっても案外そこまで不自由しなかったですね。仮歌もこれまではディレクターの家に集まって入れていたんですけど、今は2人それぞれに自宅で歌ったデータを送るようになりました。思いのほか効率が良くて、けっこういい感じです」

Rachel 「宅録用の機材もそうだし、この期間でメカに強くなっていけたらいいなと思っています。そしたら作業効率も上がるだろうし」

ただ、ツアーの中止については、悔しさや待っていてくれたファンへの申し訳なさがあり、2人の心配は、ライブやイベントが軒並み中止や延期になっている全国のライブハウスに向けられています。

Mamiko 「私たちがインディーズの頃にお世話になっていたライブハウスの中には、コロナの影響で廃業しちゃったところがあって……。それがここ最近で一番ショックな出来事でした」

Rachel 「クラウドファンディングで支援をしたりとか、自分たちにできることはやっているんですけど、この状況が落ち着いた時にはたしてライブハウスが残っているのか、私たちが戻る場所がなくなってしまっているんじゃないか、という怖さがあります」

それと同時に、これまで当たり前だと思っていたことへのありがたみにも気づかされたとか。だからこそ、再びステージに立てた時には、多くの人に感謝したいと話しています。

Mamiko 「コロナが明けてからのライブは涙もろくなっちゃうんだろうな……。ライブができることに感謝感謝。みんなありがとー!ってなる」

Rachel 「登場で泣いて、MCで泣いて、間に泣き休憩も挟んで……みたいな?」

Mamiko 「うん。40分のライブで3回は泣くよ」

Rachel 「ありがたみはずっと忘れないでいたいよね。またライブができる日々が戻ってきても」

世間は少しずつ“元通り”になりつつありますが、音楽活動に関してはまだまだ先が見えないのが実情。ただ、コロナ騒動によってアーティストも観客もライブの素晴らしさを再確認しただけに、コロナ明けのライブは、より一層素晴らしいものが期待できそうです。

◆ケトルVOL.54(2020年6月16日発売)

【関連リンク】
ケトルVOL.54

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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