SNSで話題の『PUI PUIモルカー』 説明過多でないからこそ広がる想像の余地

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子供向けバラエティ番組『きんだーてれび』(テレビ東京系)で放送されているアニメ『PUI PUI モルカー』が、子供だけでなく大人の間でも話題になっている。同作は、とぼけた表情を浮かべた「モルカー」がトコトコと駆け回り、さまざまな事件を解決する物語。人間と動物の不条理な関係を描いた意欲的な作品は、いったいどのような経緯で生まれたのか? 制作を手がけたシンエイ動画株式会社代表取締役社長の梅澤道彦氏は、2021年2月26日発売の『クイック・ジャパン』vol.154で、このように語っている。

「2019年の夏に、知人を介して見里朝希監督が学生時代に制作したアニメ作品『マイリトルゴート』を観せてもらいました。自分でフェルトを動かして作品を作っているとお聞きして、『面白そうだな』と。もともとシンエイ動画で制作している映画『クレヨンしんちゃん』のオープニングでクレイアニメを使っていたこともあって、ストップモーションのアニメには興味を持っていました。そこで『なにかでご一緒しませんか?』と監督に声をかけたんです」

『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』で知られるシンエイ動画だが、本格的なストップモーションアニメの制作は初めてだという。制作には多くの時間が必要になることから、短編で本数を重ねていく方針が決まり、見里監督の「モルモットが車になる」というアイディアが採用された。

「最初は『機関車トーマス』や『カーズ』のようにセリフのある作品を想像していたので、脚本が上がってきた段階でセリフがないことに驚きました。ただ、読んでみると社会風刺が効いていて、子どもだけじゃなくて大人にも伝わる内容になっている。

監督が最初にイメージしていたのはもう少し風刺の色が強い作品だったように思いますが、シンエイ動画はずっと子ども向けのアニメ作品を制作してきた会社なので、私たちのほうからは『子どもにも親しみやすいストーリーを』という話はしましたね。結果的に、監督の作家性と子ども向けアニメのエッセンスをうまい具合に融合できたんじゃないかと思います」

それでも、ここまでの反響は予想していなかったと語る梅澤氏。作品が話題になったことで、新たに気づいたこともあったようだ。

「2分40秒という短い尺数ということもあり、どうしたってストーリーを丁寧に説明することが難しい。もう少し時間が長かったら、説明過多になっていたかもしれません。ただ、だからこそ想像の余地があるんですよね。

今、バラエティやワイドショーでも過剰なほどテロップを入れたり、ナレーションをつけたりするじゃないですか。ある意味、『モルカー』はそんな時代に逆行するようなコンテンツです。ただ、それでもこれだけの反響があるということは、たとえ子ども向けのアニメ作品でも、1から10までかゆいところに手が届くようにしちゃダメだということを改めて感じましたね」

残念ながら、『PUI PUI モルカー』の放送は3月23日で最終回を迎えるが、一度観たらその独特の世界観にハマること間違いなし。最終回は要チェックになりそうだ。

◆『クイック・ジャパン』vol.154(2021年2月26日発売/太田出版)

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クイック・ジャパン154-太田出版

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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