4月10日に、ビジネス&カルチャーブック『tattva』が創刊。同誌はビジネス、アート、テクノロジー、ポップカルチャーなど様々な切り口から多様な視点を100ページ以上のボリュームある特集と60ページ以上の連載で届ける季刊誌。創刊号の特集テーマは「なやむをなやむのはきっといいこと。」で、新型コロナウイルスが猛威をふるいはじめてから約1年、また東日本大震災から10年の今年、誰もが協力し合いながら、お互いを尊重し合いながら歩んで行くなかで生まれる「なやみ」について悩みながら考える特集だという。
メディア美学者の武邑光宏の巻頭連載にはじまり、哲学者の小川仁志による寄稿「哲学を流行らせよう、世界のために」、人類学者の磯野真穂へのインタビュー「不確実性との付き合い方」、そしてオードリー・タンや経済学者のキャス・サンスティーン、社会学者の西田亮介など注目される識者たちが登場。またアジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤正文、落語家の柳亭小痴楽、写真家の長田果純など表現者も多く掲載されている。
多岐にわたる領域の識者が登場していることや、ビジネス誌とも人文誌ともカルチャー誌とも取れる内容になっているが、その理由について編集長の花井優太さんは以下のように話してくれた。
「世の中の価値観や営みが多項化し、コロナなどをきっかけにそれがさらに加速していることから、様々な考え方に一度で触れられるものをつくりたいと思いました。新聞を読むときには、新聞の文字をそのまま追うのではなくて、各媒体が元々どのような主張を持っているかもある程度理解しながら読んだ方が、より文章の先が見えてくる。数多の考え方に触れて世界を見つめながら、それぞれの営みを尊重しあって共生・共創できればという願いをこの本には込めています」
同誌では、4月13日に青山ブックセンター本店で創刊記念トークショー「この一年、コロナで日本は変わったか?意識変化をデータで見ながら新たな兆しを探る」を行い、翌週からは下北沢の本屋B&Bで、20日に「小川仁志×『tattva』編集部 悩める学生、ビジネスパーソンへ届けたい『いま、哲学に何ができるか?」、26日に「曽我部恵一×『tattva』編集部 青春とか、サニーデイ・サービスとか、現在とか」が開催される。新媒体の中身に合わせて、紙面と連動したイベントも興味深い。