アニメ制作に挑戦する少女たちを描いたマンガ『映像研には手を出すな!』が2020年1月からアニメ化された。作者の大童澄瞳は、高校で映画部に所属し、マンガを描く以前は独学でアニメーション制作をしていたという経歴の持ち主だが、そんな大童の目にアニメ化作品はどう映ったのか? 2020年2月25日発売の『クイック・ジャパン』vol.148で、大童はこう語っている。
「『本当にワクワクする作品に仕上がってるな』と思って、とてもうれしかったです。やっぱり自分で描いた作品だと客観的に見るのにも限界があるんですけど、それがアニメ化でまったく別のスタイルに変わって、湯浅(政明)監督なりの新しい演出なども加わったことで、より新鮮な気持ちで見られるようになりました」
湯浅監督が起用されたことで、「原作がどうこうというよりは、『湯浅政明監督の最新作』として楽しみにしていた」と語る大童。マンガでは見開きほどの妄想シーンが、アニメで長尺で描かれたシーンには驚いたそうだ。
「いや~、あそこは良かったですね。メカニック設定の図解や妄想にトリップするようなシーンって、重要ではあるんですけど尺が短くなりがちで。ただマンガに描かれている絵をアニメーションに引き延ばせばいいってわけじゃなくて、時間やテンポのコントロールもしつつ、それなりの密度でもって見応えのあるものにしないといけないんです。そこをマンガとは違う動きを足したりすることでクリアしているのはすごかったですね」
アニメ化に際してファンや関係者が不満を抱くことは少なくないが、「期待を上回るものができた」「いろんな楽しみ方があるアニメ」など、称賛の声を惜しまない大童。『映像研』は実写化も実現したが、こちらについてはどう考えているのか?
「やっぱり、表現のスタイルをいくつもまたぐというところ。マンガとアニメも全然違うものではあるんですけど、原作マンガとの差が一番見えやすいのが実写版。そして、よく炎上するのも実写版なんですよね。でも『映像研』では『実写には実写なりの面白さがあるんだ、これを作っている人たちも実際にいるんだ』っていうこともメタ的な視点で伝えられるはず。『この映像はどういうふうに撮られているんだろうか』」っていうのも考えつつ、作品の成り立ちを丸ごと楽しむ、っていうのが僕は面白いんじゃないかと思いますね」
4月からはTVドラマがスタート、5月15日に劇場版が公開予定の実写には、今をときめく乃木坂46の人気メンバーが出演者に名を連ねており、『映像研』が2020年の一大ブームになる未来が見えてきたようだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.148(2020年2月25日発売/太田出版)
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