CD不況とは無縁 存在感を増し続ける唯一のジャンルとは?

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「若者の○○離れ」は、今やネットニュースの定番ですが、「音楽離れ」「CD離れ」はその代表的なもののひとつです。CDの売上は、1998年をピークにどんどんを下がり続け、20年間でほぼ半減。AKB48グループが牽引したことにより、盛り返した年もありましたが、長期凋落傾向には歯止めがかかかりません。

CD不況と言われたゼロ年代ですが、そんななかにあって存在感を増していったのがアニメ関連の楽曲です。かつてはキャラクターソングが多かったアニメ主題歌ですが、ゼロ年代にはJ-POP のトップミュージシャンが楽曲を提供するケースも増えていました。

90年代に『新世紀エヴァンゲリオン』で巻き起こった第三次アニメブームが深夜アニメを台頭させ視聴者層を拡大。その結果、J-POP 側にとっても人気アニメの主題歌を手がけることは、アニメの視聴者に新曲をアピールできる絶好の機会となっていたのです。

そのピークとなったのが、2004年に発売されたアニメ『鋼の錬金術師』のベスト盤。L’Arc-en-Ciel やASIANKUNG-FU GENERATION、ポルノグラフティなどが参加した同作は、アニメ主題歌集としては初となるオリコン初登場1位を獲得しました。

そしてゼロ年代後半になると、アニメブームから派生した声優ブームが到来。すでにJ-POP がアニメを彩ることが当たり前になっていたこともあり、声優たちが歌う楽曲もアニメソング(アニソン)の枠にとらわれないものとなっていました。特に『カウボーイ・ビバップ』や『攻殻機動隊』などの音楽を手がけた作曲家・菅野よう子の作品はアニメファン以外からも高く評価され、『マクロスF』で声優・中島愛が歌った「星間飛行」は名曲として今も愛されています。

こうして音楽的にもファンを増やしていったゼロ年代のアニソンは、ついに2009年の大晦日に紅白歌合戦にまでたどり着きました。声優アーティストとして初めて水樹奈々が紅白のステージに立ったのです。水樹奈々が初の紅白で歌った「深愛」はオリコン・シングルデイリーチャートで自身初の1位を記録した曲でもあります。もはやアニメの楽曲はアニメファンだけでなく、音楽業界にとってもなくてはならない一大ジャンルとなっています。

◆ケトル VOL.44(2018年8月17日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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