今年は『魔法使いサリー』放送開始から50年。『魔法使いサリー』は日本初の少女向けアニメで、東映魔女っ子シリーズ第1作目でした。魔法の国の王女・夢野サリーは、人間の女の子であるよし子ちゃん、すみれちゃんと仲良くなったのをきっかけに、魔法の国の国王であるパパの反対を押し切って、人間界で暮らすことを決意します。
雑誌『オトナアニメ』創刊編集長で書籍『野原ひろしの名言』の著者である大山くまおさんは、日本初の女の子を主人公にしたアニメ作品である『魔法使いサリー』を、「当時の女の子たちが憧れる要素が含まれていた」と話します。
「『魔法使いサリー』は、当時日本でもヒットしていた海外ドラマ『奥さまは魔女』の影響が色濃いというのは有名な話ですが、これが意味するものは非常に大きいです。
サリーちゃんを登場人物と世界観で見ていくと、彼女はもちろん、両親も魔法の国の住人。いわば異国から日本に来ているということで、名前も容姿もかなり西洋の匂いを感じるものになっています。
東京オリンピックが終わったばかりという時代から、大衆に海外文化が入り始めてはいますが、多くは木造の家に住み、畳の部屋で生活していたんです。同作の舞台は下町で、そこに西洋的な空気をまとった魔法を使える女の子が現れるという設定。話の題材は、ドライブ、ピクニック、クリスマスだったりと、当時憧れられていた西洋文化です。魔法が使えるということよりも、サリーちゃんのライフスタイルに惹かれる女の子が多かったのだと考えられます」
「遠い文化をローカライズすることで、親近感を持たせている」と、分析する大山さん。そんなサリーちゃんは17話までがモノクロでしたが、1967年4月放送の18話からようやくカラー放送になりました。原作者は『鉄人28号』や『三国志』でおなじみの横山光輝氏。カブは人間界ではサリーの弟ですが、本当は国王の家来でした。
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