小説家・トマス・ピンチョン(Thomas Ruggles Pynchon 1937~)の全作品が、新潮社から刊行される。
ピンチョンはアメリカ出身の小説家。「現代アメリカ文学の最高峰」とも謳われる彼は、ノーベル文学賞候補の常連としても知られ、1973年に発表した代表作『重力の虹』は、その複雑怪奇なストーリーと、上下巻で約1000ページという圧倒的なボリュームで、世界中の文学ファンを唸らせた。
今回刊行されるのは『メイソン&ディクスン』『逆光』『スロー・ラーナー』『V.』『競売ナンバー49の叫び』『重力の虹』『ヴァインランド』『インヒアレント・ヴァイス』の計8作品。ご覧頂ければ分かるようにピンチョンは寡作で知られ、50年にも渡るキャリアの中で長編小説を7作しか発表していない(『スロー・ラーナー』は短編集)。
6月30日には、シリーズ第1巻として『メイソン&ディクスン』が、東京大学大学院教授・柴田元幸氏の訳で発売された。柴田氏はこの作品を「憂鬱症気味で引っ込み思案のメイスンと、根の明るい酒飲みのディクスンとが、時に喧嘩もしながら、読者から見れば何とも面白可笑しい旅を続ける、ギャグやコント満載の珍道中」と説明。9月にはシリーズ第2弾『逆光』が刊行される。
※このページの画像はスクリーンショットです
【関連リンク】
・トマス・ピンチョン全小説―新潮社
トマス・ピンチョン全小説
※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。