放送作家の鈴木おさむが、売れないお笑いコンビの日常を日記体で記した小説『芸人交換日記~イエローハーツの物語~』が、この夏、お笑いコンビ「オードリー」の若林正恭と俳優・田中圭のダブル主演で舞台化される。『クイック・ジャパン』連載時から原作を読んでいたという若林は、舞台出演の話しが来た時、非常に驚いたそうだ。
「僕はもともとお芝居をやる人間じゃないし、芝居があんまり得意じゃないっていう気持ちもあったんで、とにかくビックリして。理由が知りたいなと思って、(鈴木)おさむさんと一回お会いさせていただいて、『芝居もヘタだし経験もないのに、なんで僕なんですか?』って聞いたんです。そうしたら、(中略)『吉本の芸人さんじゃない人で、イエローハーツみたいに売れてない時期が長くって、その怨念みたいなのが出ちゃってる人ってなると、若林君かな』って」
そんな『芸人交換日記』は、「夢を諦める力」VS「続ける力」がキーワードとなる小説。「こんなリアルな若手芸人モノを読んだことがなかった。ここで書かれてることは、芸人ならみんな経験していること」と同作を絶賛する若林だが、彼自身はすっかり夢を諦めていたという。
「月収2万が5年とか続いたら、しかも男の子で26歳でってなると、やっぱ自信が持ちにくいっていうか。未熟な自分と向き合う感じももう飽きちゃって、『夢を叶える』みたいな気持ちは一切なかったですよ。やめる理由が欲しかったんです。『10年やって、M-1準決勝までだったらやめられる』とかね。『面白いけど認められなかった』みたいな、自分の中でやめる理由が欲しかったっていうだけで、俺は続けてきたんです」
しかし、そのM-1(08年)で準優勝に輝き、その後のオードリーの活躍は誰もが知るところ。若林は、「コンビじゃなかったら無理だったでしょうね」と、改めて売れない時代を振り返っている。
◆『クイック・ジャパン』vol.96(6月13日発売/太田出版)
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・芸人交換日記 ~イエローハーツの物語~-太田出版
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