作中でビール多用する村上春樹 本人は「缶より瓶」の瓶ビール派

暮らし
スポンサーリンク

8月10日発売の雑誌『ケトル』は、特集のテーマとして「村上春樹」をピックアップ。内田樹が語る「今、村上春樹を読むべき理由」から、村上作品に登場する東京スポット・食べ物・酒、登場人物の名台詞まで、村上春樹にまつわるありとあらゆる情報を紹介している。今回紹介するのは、「村上作品とビール」。彼の作品を読むと、無性にビールが飲みたくなりません?

 * * *
「料理をするとき、本を読むとき、人を待つとき、セックスをしたとき…。水を飲むのと同じぐらい自然に、ビールは作品の日常に溶け込んでいます」

そう語るのは、ブック・コーディネーターの内沼晋太郎さん。たしかに『羊をめぐる冒険』では、地元の海辺で1人ビールを飲みながら考えごとをしていたし、『ねじまき鳥クロニクル』ではずっと音信不通だったクミコから別れの手紙をもらった後に、まず飲むのはビールだった。

「そして、誰かと一緒にビールを飲むときは、その相手は決まって大事な相手」と続ける内沼さん。なかでも印象的なのが、「僕」と鼠の関係で、『風の歌を聴け』によると、彼らが最初に出会ったとき、フィアット600を大破させた後にビールを飲むし、同作では2人がひと夏をかけて25メートルプール1杯分のビールを飲み干したというエピソードも有名だ。

ちなみに、作中では瓶ビール、缶ビール、生ビールとさまざまなビールが出てくるが、村上春樹自身は「ビールは缶より瓶で飲んだ方がずっとうまい」ということで、断然瓶ビール派。『羊をめぐる冒険』で鼠と再会した”僕”は、大事な話をする前に「まず、ビールを飲もう」と乾杯するが、”春樹的日常”の象徴であるビールは瓶で飲むのが正解のようだ。

◆ケトル VOL.08(8月10日発売/太田出版)

【関連リンク】
ケトル VOL.08

【関連記事】
成海璃子が20歳の誕生日に写真集発売 カメラマンは川島小鳥
編集者・菅付雅信が古代壁画やガガを用いて編集の魅力を解説
『月と蟹』で直木賞受賞の道尾秀介氏 賞金全額寄付
中島らもの娘が小説家デビュー

※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。