昨年、京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の研究によりノーベル賞を獲得したが、一方、「人を笑わせ、考えさせた」業績に贈られるのが「イグ・ノーベル賞」。昨年は、日本のおしゃべり妨害装置「スピーチジャマー」が音響賞を受賞したが、一見バカバカしくてどうでもいい研究を表彰するこのイグ・ノーベル賞には、まだまだ数々の大発見や大発明が、その歴史に名を連ねている。
「忙しい時ほどトイレに行きたくなるのはなぜ?」 人類が昔から直面してきたこの難問に挑んだのは、オランダのミリアム・トゥック氏。研究の結果、排泄への衝動が強い場合、注意力や作業記憶などに大きな悪影響をおよぼすことが判明した。排泄欲求が高まると脳が活発に働き出し、他のことは「正直それどころじゃない!」状態になるのだそう。「忙しいからトイレに行きたくなる」のではなく、「トイレに行きたいから忙しく感じる」ということのようだ。
アメリカのバック・ウェイマー氏は、夫婦間に深刻な危機を招く「オナラ」の臭いを除去するパンツを開発し、イグ・ノーベル賞を獲得した。ある時、大腸炎にかかり、オナラが止まらなくなってしまった彼は、夫婦の危機に立ち向かうべく、6年をかけて臭いを除去する炭素フィルターつきパンツ「アンダー・イーズ」を開発。パンツの生地は気密性の高いナイロン繊維で、おしりの部分にある“三角形の脱出口”には複層フィルターがついており、悪臭のもとになる硫化水素だけを除去する仕組み。熱も脱出口から逃れるようにできているので、蒸れる心配もないという。
「食べ物を床に落としても、3秒以内なら大丈夫!」という謎のルールは、実はアメリカでも「5秒ルール」として存在するが、それを調べたのはアメリカの女子高生・ジリアン・クラーク氏。大学の研究室で見習いをしていた彼女は、食品微生物研究所の協力者のもとで徹底調査を行ない、すべすべしたタイルとざらざらしたタイルのそれぞれに大腸菌を植え付け、そこにお菓子を5秒間おいて菌の付着具合を調査。すべすべタイルのほうが、菌が移りやすいことが判明した。
◆ケトルVOL.10 (2012年12月15日発売/太田出版)
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