小学生の頃、理科の授業で「動物と植物の中間の生物」として習ったミドリムシ。あの生き物を食べ、なおかつ燃料にしようという研究を行っているのが、現在、東京大学博士課程に在籍する鈴木健吾さんだ。
「ミドリムシは、実は豊富なタンパク質があり、食物として有効な資源である」という先輩の論文を読んだことがきっかけで、ミドリムシ研究に取り組むようになった鈴木さん。研究の一方で、『ユーグレナ(ミドリムシの学名)』という名のベンチャー企業の取締役も務める彼は、ミドリムシについてこう語る。
「意外と知られていませんが、ミドリムシはすごく奥が深い生き物。光合成をする際、体内にとても豊富な栄養素を生成します。そのなかにはミドリムシしか作れない栄養素も存在するなど、食用にとても適した藻の一種なんです」
食べ方としては、ミドリムシを乾燥させて抹茶のような粉末状にし、その粉をクッキーや青汁のような飲み物にして食べるのだとか。しかし、当初は食用として研究していたはずのミドリムシが、なんとジェット燃料にもなりそうなのだという。
「ミドリムシはいまのところ120種類ぐらいいて、育て方によっていろいろと変化が出てくるんです。何度も実験した結果、酸素が少ない状態で育てたミドリムシは、油を多く含むことがわかりました。それら油が多いミドリムシの成分組成を調べたとき、『あ、これは燃料としても使えるな』と分かったんです」
いまのところ、2018年度を目標にジェット燃料の事業化を進めていると語る鈴木さんだが、現時点での課題は、大量のミドリムシの安定供給。およそ10リットルの水槽1杯で育つミドリムシが100億匹程度だが、ジェット燃料1リットルあたり数兆匹のミドリムシが必要なので、相当大規模な設備が必要となるそうだ。
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