京都の町家の屋根に乗っかっている強面の人形は何のため?

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現在発売中の雑誌『ケトル』は、特集のテーマとして京都をピックアップ。「京都が大好き!」と題し、京都市内の気になるスポット、お店、食べ物、文化、風習などを紹介している。今回取り上げるのは、“鍾馗さん”。京都の町家の屋根には、厳しい顔をした瓦人形が乗っかっています。

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京都散策をする際に町家の小屋根に目を向けると、“鍾馗(しょうき)さん”と呼ばれる瓦人形が見つかるはず。これは、近畿以西の地域に古くから伝わる風習で、中国の道教がルーツの魔除け。なんでも、お寺からはじかれてくる魔物や鬼が自宅に侵入してこないよう跳ね返してくれるという、火除けや病気快癒の力を持つ神様だ。

お寺の多い京都には必然的に鍾馗さんも多く、現存数は推定3000体にも上るとか。集中しているのは、二条城の南側や堀川蛸薬師を西に入ったエリア、上七軒や祇園などの花街などに多いが、基本的には古い町家があれば、ほぼ必ず鍾馗さんを見つけられる。

この鍾馗さんは、来歴には諸説あるものの、中国は唐代の実存人物と言われている。鍾馗さんは、魁偉な容貌が原因で官吏登用試験に落ちたことを恥じて自害。その後、病で寝込む玄宗皇帝の夢に現れて小鬼を退治してくれたことから、邪気祓いの力があると広まったとされている。

そんないかつい容貌で屋根にちんまりと佇む鍾馗さんの形は細身からマッチョ、宇宙人顔に黄金タイプまであるが、共通しているのは悪しきものをにらんで跳ね返すギラッとした瞳。ただし、向かいの家の鍾馗さんとケンカしないよう、目線を外して設置することもあるそうだ。

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ケトル VOL.12

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。