『パッチギ!』や『黄金を抱いて翔べ』など、現代社会を描いた作品を次々と世に送り出してきた映画監督の井筒和幸が、現在、東京・御茶ノ水の映像専門学校「UTB映像アカデミー」で、特別講師として若者たちに映画・映像のイロハを教えている。彼は若者にどんなことを伝えたいのだろうか? 現在発売中の『クイック・ジャパン』vol.109で、井筒は“プロフェッショナル”について、こう語っている。
「モノを知ること。これに尽きます。これは総じて今の若い子全般に言えることだけれど、モノを知らなさすぎますね。常識がない、というのではないですよ。単に、モノを知らない。実のところ、映画や映像、CMの作り方や技術習得云々はもちろんプロになる上では必要なことではあるけれど、そういうのはやろうと思えば誰しも見様見真似からはじめて、ちゃんと覚えていくものなんです。ただ、映画でも一軒家を建てるのでも同じことで、モノづくりには支柱となるものがなければいけない。そうでないと、できたものがフニャフニャになって崩れ落ちちゃうからね」
「そういうことは教えるもの、教わるものではない」とも付け加える井筒。しかし、彼にとって、「若者のモノの知らなさ」は、目に余るものがあるようだ。
「生徒さんたちに教えてあげたいのは、あなたたちはあまりにもモノを知らないですよ、ということなんです。僕はUTBの他にいくつかの大学で講義や授業をしているけれど、突き詰めると常にモノを教えています。モノづくりの基礎、ではなくて、モノそのものを。それは知識や教養や常識とも違うものでね」
井筒は、その必要性について「モノを知ると、発想も自ずから違ってきますよ」と説明。「映画というのはそういうことまで考えて撮らないと、お客さんはすぐ気づきますからね。“こいつ、分かってないな”と。そんな映画、誰にも観てもらえませんよ。モノを知るというのはそういうことなんです」と、述べている。
◆『クイック・ジャパン』vol.109(2013年8月12日発売/太田出版)
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