高級ブランド米「魚沼産コシヒカリ」は朝ごはんには合わない?

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現在発売中の雑誌『ケトル』は、特集のテーマとして“小さなお店”をピックアップ。「小さいけれどスゴい店が大好き!」と題し、「野菜嫌いも克服させる八百屋」や「メニューが多すぎて全部覚えられないお弁当屋」など、全国各地の名店を紹介している。今回取り上げるのは、全国でもごく限られた人数しかいないマイスターの称号「5ツ星」を持つ、お米のスペシャリストがいるお米屋さん。店主の西島豊造さんは、お客さんごとにピッタリなお米を選び出してくれます。

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「従来の米屋は地域密着型が多かったために、接客にあまり熱心ではなかった。でも、お客さんのライフスタイルや嗜好によって、口に合うお米は全部違うはず。せっかく米屋はたくさんのブランドをそろえているのだから、僕は“お米のソムリエ”を目指すことにしたんです」

そう語るのは、東急東横線・都立大学駅そばのお米屋さん「スズノブ」の店主・西島さん。お客さんに喜んでもらうため、実際にワインショップやレストランに通い、本物のソムリエの接客トークを熱心に観察したという西島さんは、さりげない会話の節々から相手の好みを探って、「これぞ!」という1種類をチョイスします。

西島さんのお店を初めて訪ねると、まず「普段はどんな食事をしていますか?」と尋ねられ、そこから「家族は何人?」「朝は自炊しますか?」など、カウンセリングのような質問が多岐にわたります。しかも、誰よりもお米に詳しい人なのに細かいウンチク話は一切なし! 西島さんは、その意図を「知識を押し付けるのが一番嫌われるんです。目的はお米の美味しさを知ってもらうことであって、お客さんに煙に巻くことじゃないですから(笑)」と語ります。

そんな努力が実り、「5ツ星マイスター」の資格まで手に入れた西島さんは、お米のスペシャリストとしてメディアに登場する機会が激増。かつての人気番組『どっちの料理ショー』では、登場するほとんどのお米をスズノブが提供していたそうです。

「番組の関係者から依頼されてやったんですけど、料理ごとにお米を変えていたから大変でした(笑)」と、当時を振り返る西島さん。今では、ブランド米のコンサルティングまで依頼されるようになり、コシヒカリにも匹敵すると評判の「ゆめぴりか」も世に送り出した彼ですが、「ブランド米のコンサルティングでマージンをもらったことは一度もない」のだとか。まさに八面六臂の活躍をする西島さんは、

「本当は朝・昼・晩で違うお米を食べることが常識になってほしいくらい(笑)。例えば、いくら魚沼産コシヒカリがうまいといっても、朝からあんなにもちもちしたお米を食べたら食欲をなくしてしまう。そんなことも浸透していないので、やるべきことはたくさんありますよ!」

と、“野望”を語っています。

・スズノブ 東京都目黒区中根2-1-15 営業時間8:30~18:30 日曜祝日定休

◆ケトル VOL.14(2013年8月13日発売)

【関連リンク】
ケトル VOL.14

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。