大瀧詠一といえば、自らのアルバム発売はもちろん、CMソング、プロデュース、レコーディングエンジニアなど、様々な形で音楽に携わった人物。彼は、「歌謡曲がどんな人、どんな環境で作られているの知りたい」という探究心から、多くのアーティストに楽曲を提供したことでも知られるが、その中には「大瀧詠一の曲なの?」と驚くこと請け合いの曲も少なくない。そこで“隠れた大瀧楽曲”を何曲か紹介しよう。
・松田聖子 『風立ちぬ』(1981年)
80年代を代表するアイドル・松田聖子の4枚目のアルバムは、A面の5曲すべてを大瀧が担当。B面の『白いパラソル』以外の作曲は鈴木茂、作詞はすべて松本隆と、はっぴいえんどのメンバーが集結した。タイトルトラックとなった『風立ちぬ』は、松本隆とコンビを組んで他のアーティストに提供した第1号の曲。81年のヘッドフォンコンサートで大瀧は、「もう2度と歌うことはないだろう」とカヴァーを披露した。
・森進一 『冬のリヴィエラ』(1982年)
大瀧が「『恋するカレン』の演歌版」と語る1曲。「キンチョール」などで知られるCMディレクターの川崎徹の依頼のため、ユーモラスな方がウケると思い、初めは「森進一とジャズ」というネタで曲を作ろうとした。しかし曲が思い浮かばず、先に松本隆に詞を書いてもらった結果、詞に合わせてあのような60年代調のポップなメロディになった。
・うなずきトリオ 『うなずきマーチ』((1982年)
「オレたちひょうきん族」から誕生した、ツービート、紳助・竜介、B&Bのツッコミ役3人で結成したうなずきトリオによる、遊び心がたっぷりつまった1曲。ちなみにB面は『A面で恋をして』のパロディ『B面でうなずいて』。同番組のプロデューサー・横澤彪は、ナイアガラ関連のレコードはエレック盤から持っているほどの大瀧ファンだった。
◆ケトル VOL.17(2014年2月15日発売)
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