大の長嶋ファンだった大瀧詠一が実践 「長嶋茂雄になる」楽しみ方

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昨年末に急逝した大瀧詠一は、音楽はもちろんのこと、落語、相撲、映画などにも精通していたが、プロ野球にも目がなかった。中でも大ファンだったのが“ミスタージャイアンツ”こと長嶋茂雄だったが、大瀧の偏愛ぶりは一般的な長嶋ファンとは少し違っていた。

もともと三拍子揃った長嶋のハッスルプレーに魅せられたという大瀧。長嶋が現役を引退する時には、「自分はジャイアンツではなく長嶋ファンだったと気づいた」と語った彼は、その後監督としてチームに戻ってきた長嶋にも熱視線を送り続けていた

そんな大瀧は、CS放送がまだ珍しかった90年代から、福生にある自宅にアンテナを何本も取り付け、関西ローカルの野球中継を録画したり、民放全局の夜のスポーツ番組をチェックしたりしていた。これは、長嶋を知るために、ジャイアンツだけでなく他球団の事情もリサーチするため。「長嶋茂雄はどう考えるか、どう対応するかを推理する。長嶋茂雄以上に長嶋茂雄になる」という楽しみ方を実践していた。

それを端的に表したのが、長嶋が2度目の監督に就任した1993年のこと。巨人対ヤクルト戦のナイター中継にゲスト解説者として出演した大瀧は、巨人の攻撃時に「臨機応変に行くのが長嶋野球なんです」と持論を展開し、「セカンドランナーに三盗を試みさせる」と予言すると、それが見事に的中。長嶋が憑依したかのようなメイクミラクルに、野球中継の第一人者である深澤弘アナ(当時ニッポン放送)も、「大瀧さん、どうぞなんでも言って下さい」と、感心しきりだった。(文中敬称略)

◆ケトル VOL.17(2014年2月15日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。