俳優の佐野史郎が率いるロックバンド「ゼラチン・シルバー・ミュージック・クラブ・バンド」の8年ぶりのニューアルバム『ニュープリント』が、今年6月に発売された。俳優として確固たる地位を築きつつ、ミュージシャンとしての活動にも意欲を示す佐野は、現在発売中の『クイック・ジャパン』vol.116で、アルバムについてこのように語っている。
「この10年間に震災、ベースの橋本潤や役者の先輩俳優たちが亡くなってしまうという出来事が重なった。僕も来年、還暦を迎える。その前に、一度人生を洗いざらい、落とし前をつけなきゃという気持ちが出てきて。それを形にするのにアルバムが一番だと思ったんです」
ニューアルバムはサザンロック、GSといった、佐野が10代なかばに熱中したものから、タイムスリップ(佐野がメンバーだった80年代のインディーズバンド)時代の楽曲、AKB48のカバーまで時代やジャンルを超越した一枚。そこには、佐野の音楽への深い思いが込められているという。
「戦後、アメリカを通して西洋から入ってきた音楽を、知識だけでなく実際に肌身で感じて60年近く生きてきた。あれはいったい何だったのか?……自分のその体感を次世代に直接伝えたいという想いが根幹にはあって。
クレージー・キャッツやグループサウンズがあり、ポール・マッカトニーやフォーク・クルセダーズのステージも、AKB48の東京ドーム公演も、すべて僕の中で等価に存在している。ジャンルや邦楽/洋楽、という隔てはないんです。懐古趣味でもないし、普遍的と言いきれもしない。今あるものとどう向き合って生きるか、というのが根本的なテーマ」
このような感覚は、佐野の“師匠”である大瀧詠一の影響だそうで、佐野曰く「大滝さんはいろんな時代の音楽を組み合わせて曲を作る、まさに職人でしたから」とのこと。大瀧を大いに敬愛する佐野だったが、大瀧には「君はどっぷりアングラだよなぁ」と言われてしまったそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.116(2014年10月14日発売/太田出版)
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