これからの季節、冷やして食べると美味しいのがフルーツの缶詰。デパ地下やスーパーなどを訪れると、白桃やパイナップルなど、多様なフルーツ缶詰がありますが、缶詰にできないフルーツもあるのでしょうか?
東洋食品工業短期大学の朝賀准教授に伺うと、基本的にはすべて缶詰にできるとのこと。ただし、バナナやメロンといった酸味の少ないフルーツはあまり向かないようです。その理由は、
「缶詰を作る時、長期保存できるように加熱殺菌するのですが、酸味が強いものは温度が低く短時間で済むのに対して、酸味の少ないものは高温で長時間の過熱が必要となり、味や見た目が変わってしまう」
とのこと。ちなみに、バナナの場合は120度で4分相当の加熱殺菌をしなくてはいけないため、試作した時は焼き芋のような匂いになったそうです。
逆に酸味はあっても缶詰に向かないフルーツもあります。それはイチゴ。加熱殺菌によって赤い色素(アントシアン)が溶け出すため、果肉の色みが悪くなり、味もシラップ漬けにすると薄いジャムのようになるのだとか。日本にはジャム文化が根付いていますから、需要が無いというのが実際のところのようです。
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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。
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