イワシ類=サーディンを油に漬けるだけ。その製法はシンプルな「オイルサーディン」ですが、歴史が深いがゆえに、缶詰好きならおさえておくべき豆知識が数多く存在します。オイルサーディンの奥深い世界へ誘うトリビアを紹介しましょう。
世界各国で作られているオイルサーディンですが、イワシの詰め方には国民の気質が表れるようです。例えばペルーの缶詰は微妙にスカスカですし、フィリピンには円柱缶にイワシが無造作に縦に詰め込まれたものも。一方、日本やヨーロッパのものは概して美しく、特に高級品は手作業で丁寧に詰めていることをアピールする傾向があります。
世界でも最高品質と名高いノルウェー「キングオスカー」の缶詰。パッケージには19世紀のノルウェー国王・オスカル2世が描かれています。これは同社の品質を認めた国王が、肖像使用に自らOKを出したから。王室ご用達の缶詰は世界に数あれど、「王の特別な許可による」と堂々と印字された缶詰はこれだけでしょう。
「トムとジェリー」のジェリーのベッドは、実はオイルサーディンの空き缶です。話にもよりますが、缶にすっぽり入ってフタを掛け布団にしているのです。一方、老舗シャンパンメゾンのヴーヴ・クリコは、2012年にサーディン缶風の外箱でイエローラベルを限定発売。あの絶妙な形とサイズ感は、つい手に入れたくなってしまいます。
ところで、「オイルサーディン」と「アンチョビ」の違いをご存知でしょうか? オイルサーディンとアンチョビの材料はどちらもイワシ、油、塩とほぼ同じ。アンチョビはカタクチイワシを三枚におろして塩漬けにした非加熱の発酵食で、単品で食べるのには不向き。一方、オイルサーディンは、イワシ類の頭と内臓を落として油漬けにし、加熱したもの。こちらは単品でも美味しく味わえます。
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