ビジネスで成功する秘訣といえば、少しでもムダを排除すること。そのために設備投資をしたり、コンピューターを導入したり、ソフトウェアで人員や仕事内容を管理したりと、企業はムダをなくすための努力を怠りませんが、時にはムダが何かを生み出すこともあります。
たとえば自由な社風の象徴として有名なグーグル社の「20%ルール」。勤務時間の20%を担当業務外の研究開発に充ててよしとするもので、これにより社員は普段は一緒に仕事をしない同僚とチームを組み、普段は使わないスキルを習得します。そんなムダから、Gmailやグーグルマップが生まれたのです。
文具メーカーの3M社の代名詞的存在のポスト・イットもムダから誕生しています。本当は強力な接着剤を作りたかったのに、研究者のスペンサー・シルバーさんは、なぜか「すぐつくけど剥がれる」という接着剤を作ってしまいました。
これをどうにか活用できないかと考えた彼は、同社が導入していた勤務時間の15%を好きな研究に充てられる「15%ルール」を利用し、商品化に向け奔走。結果は周知の通りとなりました。失敗作と業務外研究の「ムダコンボ」が、大ヒット文具を生んだのです。
◆ケトル VOL.29(2016年2月12日発売)
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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。