庭造りにハマった印象派の巨匠・モネ 「絵を描くのは庭のため」状態だった

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現在、国立新美術館では『ルノワール展』が開催されており、「印象派時代の最高傑作」と名高い『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』が初めて日本にお目見えして話題となっています。

印象派を牽引した巨匠・ルノワールが残したのが、「花を描くのに理由はいらない。ただ綺麗だから、描くのだ」という言葉。彼をはじめ、印象派の画家たちは「花フェチ」や「庭オタク」ばかりでした。なかでもモネの庭造りへの執着は、とんでもないものだったそうです。

〈園芸展示会や植物園をひんぱんに訪れ、育種の専門家から新種の花を手に入れては、誰よりも先に新種の花を咲かせようとした〉(『印象派の庭と花』デレック・フェル著より)

19世紀後半、ヨーロッパはガーデニングブーム。園芸雑誌の創刊が相次ぎ、新種の花や庭の手入れ方法など、豊富な情報が簡単に手に入るようになっていました。また、水やり用のゴムホースや回転式の芝刈り機が登場し、庭の手入れが簡単になったのもこの時期。新しい園芸インフラの恩恵を受け、花と庭に没入する人たちが急増したのです。

そしてモネはこの恩恵によってよりいっそう庭を育て、自身のクリエイティビティの糧としたわけですが……画家として成功した後は、稼いだ金で花や植物を買いあさり、ついには「庭の資金作りのために絵を描く」という状態に。その後、第一線の画家を引退し、庭造りに残りの人生を捧げました。芸術家の心を虜にした花と庭と園芸産業、まさに恐るべしです。

◆ケトル VOL.30(2016年4月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。