仲むつまじい夫婦を表す表現でおなじみの「オシドリ夫婦」。「芸能界のオシドリ夫婦」といったフレーズがしばしば使われます。
オシドリは、確かに繁殖期前後は仲良く寄り添って暮らしています。というのも、メスを射止めることができなかった別のオスが現れて、すでに夫婦になったメスを奪おうとするのです。だからオスはなるべくメスのそばに寄り添って、妻を守らなければなりません。きっとこの姿を昔の人が見て、「オシドリ夫婦=仲むつまじい夫婦」と解釈したのでしょう。
しかし、実はオシドリは毎年パートナーを変える動物なのです。オシドリは繁殖期が過ぎるとすべてのペアが関係を解消して、一旦リセットします。そしてまた次の年には、新しい相手と子供を作るのです。子孫繁栄のためとはいえ、毎年相手を変えるとは……。幸せな家庭を築くなら、オシドリを見習ってはいけないのです。
そんなオシドリとは違って、パートナーを変えない鳥もいます。例えばアメリカの国章に使われるハクトウワシは、夫婦になった相手を生涯変えません。さらに夫が積極的に子育ても行う“イクメン”です。仲むつまじい夫婦を表すなら、オシドリ夫婦というより、“ハクトウワシ夫婦”の方が言い得ているかもしれません。
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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。