2015年、ネットで大いに話題になったのが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』で描かれた“未来”がやってきたというニュース。作中で描かれた未来は2015年10月21日でしたが、2019年には映画『ブレードランナー』が描写した未来がやって来ます。たった2年後にあんな世界がやって来るとは想像できませんが、どこかにその萌芽はあるはず。そっくりな風景を東京で探してみました。
東京中を駆け回って、まず見つけたのは、外国人がその混沌と秩序に最も驚くという渋谷の交差点。その頭上に凛々と輝くQFRONTのワイドビジョン。そうです! ブレードランナーで最も日本人にインパクトを残したシーンと言えば、あの巨大電光掲示板に和風の女性がにっこり笑う、強力わかもとのCMが映っているシーンで間違いないでしょう。あのシーンを再現できるのはここだけではないでしょうか。ブレードランナーの続編公開日には、ぜひ渋谷をジャックしてありとあらゆるビジョンを強力わかもとのCMで埋め尽くしてほしいです。
次なるスポットは、新宿歌舞伎町。歌舞伎町は、全体的にブレードランナー臭がする街なのですが、なかでも新宿区役所のあたり、風林会館の向かいにある路地は、主人公のデッカードが冒頭にヌードルバーでうどんを食べるシーンの街並みにそっくり。うどん屋はありませんが、一杯飲み屋が連なっていて、有名な上海料理屋もあります。雨の日などに一度訪れたら、ブレードランナー気分に浸れること必至でしょう。
最後は心霊スポットとして有名な千駄ヶ谷トンネルです。トンネルと不気味な雰囲気がそっくりなのです。都会のトンネルなのに蔦が絡まっていて、妙に古ぼけた雰囲気を残しており、逆に新しさも感じられます。これはまるでリドリー・スコットがブレードランナーを作る際に美術面でこだわっていたレトロフィット(古い建物に新しいものを組み込むコンセプト)そのものです。
以上、3つのスポットを見てきましたが、やはりエポックメイキングは、渋谷のQFRONTでしょうか。ブレードランナーが公開された1982年にはもちろんQFRONTはありませんでしたし、ワイドビジョンというものも存在しませんでした。そういう意味で我々は、十分未来都市に住んでいるという言い方もできそうです。
◆ケトル VOL.36(2017年2月14日発売)
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