2009年から2012年にかけて公開された青春HIPHOP映画『SRサイタマノラッパー』がドラマになって帰ってきた。劇場版3部作は埼玉県と北関東が舞台だったが、TVドラマの舞台は東北地方。入江悠監督は、ドラマでは何に挑戦したかったのか? 2017年8月24日発売の『クイック・ジャパン』vol.133で、入江監督はこう語っている。
「(東北になったのは)僕の希望です。もともと雪国が好きなので、冬の東北の旅情を撮りたかったんです。3年前に連ドラ化の話をいただいてから取材のために東北をいろいろ回って、面白い場所がまとまってきたところで、ストーリーを考えはじめて。最終的にライブをやりたかったので、プロデューサーサイドが探してくれた川崎のクラブチッタさんを目的地に、そこに向かっていく旅を逆算で作っていきました」
作品は、埼玉県の深谷から青森県の大間に移動し、岩手県の遠野、福島県の猪苗代湖、東京都の赤羽を経由して川崎に至る。全11話を撮るにあたり、決めごとのようなものはあったのか?
「毎回ラップをちゃんとしたボリュームで入れることですね。『サイタマノラッパー』というタイトルとはいえ全国的には知名度がないですし、毎回ラップのシーンがないと視聴者にはなんの話しがわからないと思って。SHO-GUNGの3人は大変そうでした。撮影前から練習しても間に合わなくて、撮影中も次の回のラップを練習したり」
世代的には、ドラマから入って映画シリーズを知る人もいるはずだ。まだまだ『SRサイタマノラッパー』は続くのか?
「彼ら(SHO-GUNG)の夢であるステージにたって、地元のフクヤ(深谷がモデル)に戻る形で終わりましたし、このドラマで彼らの旅にひとつの区切りがつくかなと思いながら撮ってたんですけど、彼らの人生は続くと考えると、シリーズがどうなるのかはわからないです。もしかしたら次の世代が主人公になっているかもしれないし」
このような言葉で、含みをもたせた入江監督。今度はどこが舞台になるのか、次はどんなストーリーが生まれるのか、ファンの楽しみはまだまだ続きそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.133(2017年8月24日発売/太田出版)
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