最近、ニュースなどで取り上げられることが多いのがAI(人工知能)だ。将棋や囲碁の最強クラスの棋士にも勝利を収め、AIの進歩は留まることを知らないが、より我々の生活に密着した分野では、どんなことが期待できるのか? 『図解でわかる 14歳から知っておきたいAI』(太田出版/インフォビジュアル研究所)では、“AIと医療”について、このように解説している。
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AIが白血病患者の命を救った――。そんなニュースが、医療界を驚愕させたのは、2016年8月のこと。東京大学医科学研究所の発表によると、IBMのAIワトソンが、患者の正確な病名をわずか10分で見抜いたうえ、適切な治療法を示し、それによって患者が回復したというのです。
患者の症状から病名診断を下すには、過去の症例や医学論文など、膨大な医療情報と照合する必要があります。これはまさに、ビッグデータの集積と分析力に秀でたAIの得意分野です。AIが迅速で精密な診断を行い、医師が最終判断を下す。このようにAIが多忙な医師を支えることで、より質の高い医療が提供できるのではないか。そんな期待が医療現場では高まっています。
診断のみならず、医療行為をサポートするAI搭載ロボットも登場しています。日本でもすでに一部の病院が、アメリカのインテュイティヴ・サージカル社が開発した手術支援ロボット「ダヴィンチ」を採用。医師は3D画像を見ながら、ロボットのアームを遠隔操作し、まるで患者の体内に入り込んでいるかのように繊細な手術ができると高い評価を得ています。このほか、薬剤や検体を自動で運ぶ自律搬送ロボット、受付・案内ロボットなども、日本国内ですでに実用化されています。
もとより人の命を預かる医療現場では、より高度な診断・治療技術が求められ、患者側も最新設備を備えた病院に安心感を覚える傾向があります。医療はAIと非常に相性のいい分野だといえるでしょう。
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巷では「AIの進歩によって、人間の仕事が奪われる」と危惧する声もあるが、確実に治療が受けられるのは、誰でも大歓迎のはず。“AI先生”にお礼を述べる日も、決して遠くはなさそうだ。
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