ドラマや映画の出産シーンでは、必ずと言って良いほど、医者が「ハイっ、いきんでーー!!」と、妊婦を叱咤する光景が展開されるが、実際には、いきむことは必須の作業ではないようだ。ヨーロッパやアメリカなど、全世界で注目される産前教育法「ソフロロジー」について解説した『「母性スイッチ」で最高の出産を ソフロロジーが導く安産と幸せな育児』(大宮林医院 林正敏・著/太田出版)では、“いきむこと”についてこのように解説している。
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出産というと、お母さんが力強くいきんでいる姿をイメージする人が多いと思いますが、「いきみ」が分娩に必須のものかというと、実はそうではないのです。「え? お母さんががんばっていきまないと、赤ちゃんは出てこられないんじゃないですか?」と疑問を抱いたでしょうか。
陣痛というもの自体が、赤ちゃんを押し出す自然のパワーですから、良い形で陣痛が来ていれば、それだけで分娩も自然と順調に進んでいきます。本来陣痛だけで赤ちゃんは産まれてくるものなのです。あえていきんでパワーを足す必要はないんですね。いきむことで必要以上の力が加わると、赤ちゃんに余分な負荷がかかったり、産道が傷つくこともあります。
ただし、いきんでも問題のないタイミングはあります。子宮口が全開大、つまり出口がしっかり10センチ開いて赤ちゃんが通れるスペースが確保できたら、力が入るときはいきんでも大丈夫です。
◆いきむのは、子宮口が全開大になってから
いきむということは、赤ちゃんを押し出す力が増すということです。子宮口が全開大になる前にいきんでしまうと、出口がまだしっかり開いていないのに押し出す力が増すわけですから、赤ちゃんは板挟みのような状態になってしまいます。そうすると、赤ちゃんに余分なストレスがかかることもあります。ですから、子宮口が全開大になるまでは、なんとかがんばっていきむのを逃していくことが望ましいのです。
陣痛はあってしかるべきもの、必要なものですから、それに抗うのではなく、うまく波に乗ってやり過ごしていくように体が陣痛に同調できると、上手に痛みを逃していけるようになります。そのときにはやはり、ただゆっくりと息を吐くことで、お母さんの痛みが緩和され、赤ちゃんにも酸素が行き渡るようになるのです。
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いきむことがいけないわけではないが、必須な作業ではなく、正しいタイミングもあるということ。これからは出産シーンで、「はい、いきんでーー!!」と怒鳴るとNGになってしまうかも!? 『「母性スイッチ」で最高の出産を ソフロロジーが導く安産と幸せな育児』((大宮林医院 林正敏・著/太田出版)は、2018年4月11日発売。定価1280円+税。
【関連リンク】
・「母性スイッチ」で最高の出産を ソフロロジーが導く安産と幸せな育児-太田出版
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