30年以上も続いたドラマ『北の国から』シリーズは、北海道の富良野が舞台の物語。「北の国から」で富良野が夏を迎えると、ほぼ必ずといっていいほど登場するイベントが「へそ祭り」です。大勢の大人たちがお腹にカラフルな「顔」を描いて踊る祭りで、その映像的なインパクトの大きさからドラマの視聴者の記憶に強く残っています。
しかし、どんな由来があるものかドラマの中で詳しく説明されることがないため、「北の国から」ファンでも「これは何?」と思っている人がいることでしょう。そこで富良野市役所商工観光課の担当者の方に祭りの由来について尋ねると、次のように答えてくれました。
「正式な名称は『北海へそ祭り』。昭和44年に始まり今年でちょうど50回目を迎えます。開催日は3回目から7月28日と29日に決められて、これもずっと守られています。どうして『へそ』をモチーフにしているのかというと、富良野が北海道の中心、つまり『へそ』に位置していることに由来しています」
町が北海道の中心にあるということを地域の内外にアピールし、それが富良野の商工業の発展に寄与することを願って「へそ祭り」はスタートしました。町のPR の一環として始まったことから、できるだけ人々の記憶に残る祭りにしようと、参加者が「へそ」を中心にユニークな顔をお腹に描いて踊り歩くスタイルが考案されたそうです。富良野では、お祭り以外にも「へそ」がついたものは多く、へそマラソン大会、へそ公園、へそ歓楽街、へそスイカなどもあるそうです。
◆住民でなくとも飛び入り参加OK
「しかし最初は嫌がる人も多く、踊り手はわずか11人だったそうです。そこから地道な努力を重ねて定着させ、昨年は2日間で50団体・3000 人がエントリーする規模に成長しました。基本的には地元の人が中心ですが、市外の方や、最近では海外の方のエントリーも増えています」
では、「北の国から」を観て楽しそうだと思った観光客が一飛び入りで参加することもできる?
「毎年、飛び入り参加の枠を1チーム分もうけていまして、100名(各日50名ずつ)を受け付けています。へそ踊りのセットも用意していますので、手ぶらでも大丈夫です」
しかしお祭りに参加にあたっては、絵の描き方とかにルールはないんですか?
「お腹に顔を描くにあたっては、『へそ』が口になるようにする、という暗黙の決まりみたいなものはあるのですが、それを守っていないからといって参加できないわけではありません。ぜひ気軽な気持ちで、お祭りにいらしてください」
富良野の発展を願って始まり、今年で50回目という記念すべき年を迎えた「へそ祭り」。今までへそ踊り大会の時間帯に不思議と雨が降ったことはないそうです。五郎(田中邦衛)たちが何度も楽しんで鑑賞した地域を代表するお祭りを、ドラマのファンならぜひ一度は体験してみてはいかが?
◆ケトル VOL.41(2018年2月14日発売)
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