しみけん×吉田尚記対談 「没頭」に入るための具体的なテクニック

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多くの人が行き交い、賑わう有楽町の街。2018年5月末、駅前の東京交通会館3階「ジュン喫茶室」では、なんとも異色なイベントが開催された。“1万人の女性を抱いた男優”しみけんと、“元コミュ障のオタク没頭アナウンサー”吉田尚記によるトークショーだ。

今年2月に『没頭力「なんかつまらない」を解決する技術』(太田出版)を上梓した吉田と、同じく2月に『うんこ座りでオトコの悩みの大半は解決する!』(扶桑社)と『やっぱり熟女がいちばんでした。』(KADOKAWA)を立て続けに上梓したしみけんのトークに、満員の会場は終始抱腹絶倒。まずは、吉田が提唱する「没頭力」について、その“狙い”を解説する──。

 * * *
吉田:たとえば、いまこの話聞いているときって、ほかのことを考えていないですよね。こういう集中しているときにどうやったら入れるのかって、じつはみんな具体的にあまり考えたことがないらしいと。でも、スポーツの世界はいまそういう研究がどんどん進んでいて。10年前より、いまのほうがスポーツ選手は「ゾーン」や「没頭」といわれるものに入りやすくなっている。

しみけん:なるほど。

吉田:いろいろ調べると、そのときにいちばんすごいと思ったのが、この前世界記録が更新されましたけど、6~7階建てのビルくらいの高さの波をサーフィンで降りてくるみたいな記録。昔はいいところで2階建てくらいもいかなかったんですが、いまは6~7階建てまでいっちゃっている。

なんでこんなにレベルが上がったかというと、どうやったら集中できるかというフローに入る方法がわかったから、できるようになったんですって。これは万が一集中できなくなった場合に死んでしまうという状況下なので、めちゃめちゃ強い没頭に入っている。そこから、ふだんも没頭できたらいいなと思い、いろいろ考えていった末、結局「会話って没頭なんです」ということになった。

しみけん:会話は、本当に没頭するときは没頭しますよ。4時間くらい平気で喋ることありますし。電話で友だちと話していても、「もうこんな時間だ」ってよくありますもんね。

吉田:ですよね。それで、どういうことをすると没頭に入りやすいのかっていうのをまとめたかった。これは一生役に立つはずだと思って。

◆S○Xとは没頭か? ゾーンジャンキーのススメ

しみけん:どうやったら没頭できるのか、さらっと聞きたいです。著者から口頭で説明あるっていうのもなかなか貴重ですし。

吉田:はい、今日はせっかくしみけんさんというものすごく貴重な取材対象の方にいらしていただいているのでお聞きするんですが、会話が没頭ならばやはりS○Xは没頭なんでしょうか?

しみけん:没頭です!

吉田:ですよね(笑)。没頭を起こすために必要なのは、3つの条件にまとめられるんですよ。ひとつは「作業を伴う」こと。ただ考えているだけでは、没頭することは難しいんです。ゲームも手を使うじゃないですか。体を使うものは没頭しやすい。

しみけん:すごい、合っている。

吉田:それと、「そのときの状況を自分がコントロールできていて、成功か失敗かすぐわかる」こと。おそらくS○Xでもいま自分がヤったことがOKだったかNGだったかってその瞬間にわかりません?

しみけん:わかります!

吉田:ラップをやっている人も「あ、いま音外した」ってその瞬間にわかるじゃないですか。あとからわかるってない。

しみけん:やっぱ同じなんですよね。AV男優がS○X中に考えていることって、相手の表情ひとつだったり、声のトーンひとつだけだったりしますからね。

吉田:いまのリアクションはアリだ、ナシだみたいな。

しみけん:没頭していますよね、それは。

吉田:音ゲーに没頭するのはそうなんですけど、成功、失敗するのがわかるし、自分の実力より4%難しいことにチャレンジしているんです。

しみけん:4%っていうのがいいところですよね。

吉田:頑張ればできるけど、適当にやったらできないくらいの難易度ですよね。

しみけん:ボディービルダーって自分の限界値の5%くらいの重量を積み重ねる。そうじゃないと筋肉は成長していかないんですよ。

吉田:そうなんですか!確実にできることじゃダメなんですね。

しみけん:そう、それでみんなトレーニングノートつけているんですよ。

吉田:ノートって、そのためにつけているんですか。

しみけん:前回できたちょっとギリギリ上を目指す。でもね、できないんですよ。なんだけど、そこを目指していくと超えるときがある。

吉田:できなくてもいいんですね。

しみけん:できるに越したことはないですが。5%くらいっていう目安はありますね。

◆「没頭」するために大切なのは「4%」

吉田:今日、しみけんさんとお話しさせていただくにあたって、AV男優とアナウンサーの共通点ってなにかなと思ったんですけど、僕らの仕事、全部「本番」なんですよね。

しみけん:うんうん。

吉田:単なる謎かけとして捉えてもいいんですけど、「本番」ってゾーンだと思ったんですよ。観客がゾーンに入っていない人を見ると、すごく気持ちが悪い。

しみけん:そうですね。

吉田:たとえば、ゾーンに入っている大谷翔平選手を見るのは気持ちいいんですが、不貞腐れている松坂大輔選手は見てられないんですよ。これに気が付いて、「没頭はいろんなものの通貨である」っていってもいいんじゃないのかと。価値の源泉はこれなんじゃないかと。いまでいう「マイニング」ですよ、自分の熱意から価値のあるものを抜いてくるとしたら。

しみけん:よっぴーさんはもう没頭力身に付けています?

吉田:没頭していないときにどこをいじればいいのかなっていうのは『没頭力』を書いてできるようになりました。そこまでは「なんかわからない」で終わっていたんですよ。「今日は集中できない、ダメだ」って思っても本番は毎日ある。「なんで今日はいまいち気合いが入らないんだろう」と思ったら、「あ、挑戦になってないからだ」と思って。

しみけん:げえーすごい!なんか胸が痛い。僕もね、仕事していて「集中力ないな」ってときあるんですよ。僕のなかで「60点出せばいいんでしょ」感が出ちゃっているときがまさにそれで。

吉田:そのときに「60点でいいんでしょ、でも個人的にこの環境下で80点出すよ」っていう気持ちになると、結果60点しか出なくてもそこまで楽しいには楽しい。

しみけん:そうですね、そこは4%上を目指してやってみよう。徹底していこう。

吉田:それをしみけんさんの仕事に具体的に落とし込むとすると、「4%いつもより感じさせよう」とかになるんですかね?

しみけん:なにになるんだろう。

吉田:いろいろな設定があると思います。僕は初めて会うならそれだけでもう4%緊張していたりしますが、毎回毎回この人からは面白いことを聞けているっていうときは、もう一歩踏み込んでみようと思ったりしています。「ほかの人は絶対こんな質問しないだろうな」っていうことを聞く。そうすると、そのゲストに対して緊張感ができる。

しみけん なるほど。そうすると、「相手がしたことない体位をひとつ入れる」とかになるのかな(笑)

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『没頭力 「なんかつまらない」を解決する技術』の特設サイトでは、このほか男優という仕事、AI、シンギュラリティなど、多方面に展開されたトークが詳しく紹介されている。『没頭力 「なんかつまらない」を解決する技術』は、太田出版より発売中。定価は1111円+税。

▼レポート全文はこちら!
しみけん×吉田尚記トーク&サイン会レポート-『没頭力 「なんかつまらない」を解決する技術』特設サイト-太田出版

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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