日本の受験戦争は世界的にも有名だが、日本以上に厳しい学歴社会なのが中国。ただ、日本のセンター試験にあたる「高考(ガオカオ)」は、日本の受験生なら怒りを禁じ得ないような不条理なルールがあるそうだ。いったいどんな仕組みになっているのか? 『図解でわかる 14歳から知っておきたい中国』(太田出版/北村豊・監修/インフォビジュアル研究所)では、このように説明している。
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「一人っ子政策」により、家の中では蝶よ花よとおだてられて育った一人っ子たち。しかし、一歩外に出れば熾烈な現代中国の競争社会が待ち構えています。その最初の関門が、大学受験です。中国は日本以上に学歴社会であり、どの大学に入るかによって、その後の人生が大きく左右されてしまいます。多くの親が望むのは、我が子が重点大学と呼ばれる名門校に進むこと。その狭き門を目指して、受験生は寝る間も惜しんで勉強に励みます。
中国の新学期は9月。毎年6月になると、通称「高考(ガオカオ)」と呼ばれる全国大学統一入学試験が実施されます。日本の大学入試センター試験とも似ていますが、ごく一部の例外を除いて大学ごとの試験はありません。
受験生は複数の大学に出願できますが、高考の点数だけで合否が決まる一発勝負。しかも成績上位者から順に、いい大学に振り分けられるわけではありません。中国特有の地域格差があり、受験生の戸籍がある省や自治区によって、大学の定員数も合格ラインも異なるのです。
これは、人口の流動を防ぐためともされています。例えば、合格ラインの低い地域でトップの成績を上げた受験生は、重点大学に入学できるのに、合格ラインの高い地域で同じ点数をとった受験生は、二流大学しか入れない、といった理不尽が生じます。そのため、子供の戸籍を受験に有利な地域に移そうと画策する親もいるほどです。
高考が初めて実施されたのは1952年。文化大革命で一時中止されましたが、1977年に復活。以来40年以上続き、受験当日、会場の外に付き添いの親や親族が溢れ、受験生が遅刻しないよう交通規制が敷かれるようすは、いまや風物詩となっています。
近年では、あの手この手のカンニングや不正入学も過熱化し、不合格を苦にした自殺も相次いでいます。この悲喜こもごもの受験戦争を嫌って、海外に留学する学生が増え、その数は年間60万人にも達するといわれています。
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日本の受験戦争もなかなかハードだが、少なくとも出身地によって合格ラインが変わることはあり得ない。良い点さえ取れば希望の大学に入れるだけ、日本のほうがまだマシ? 同書ではこのほか、大国・中国がかかえる社会問題、現代中国の普通の暮らし、中国社会の基礎となる中国共産党などをわかりやすく図解と文章で解説している。『図解でわかる 14歳から知っておきたい中国』(太田出版/北村豊・監修/インフォビジュアル研究所)は、2018年7月11日(水)発売。1200円+税。
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・図解でわかる 14歳から知っておきたい中国
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