生き馬の目を抜くお笑い業界で今、一番の勢いを誇る事務所がグレープカンパニーだ。サンドウィッチマンをはじめ、永野、カミナリ、東京ホテイソンなど、活きの良い芸人を次々と輩出するグレープカンパニーだが、その原動力はいったい何なのか? サンドウィッチマンの2人は、2019年2月23日発売の『クイック・ジャパン』vol.142で、事務所設立当初についてこう振り返っている。
伊達 「将来の展開とかまったく考えていませんでした。拡大路線でいこう!とか言われても拡大の仕方を知りません。とりあえずいつもどおりやっていこうと。集まってきた若手芸人も以前からの仲間ばかりで、新しい事務所とはいっても気持ちのうえではほとんど変化はなかったです」
富澤 「だけど、まともに仕事しているのがサンドウィッチマンひと組だけというのは少々、不安ではありました。もし僕らになにかあったらグレープカンパニーは終わっちゃうなと。早く若手で誰か世に出てくれるといいなと願っていました」
当初は、「掃き溜め感がすごかった」「売れなかった芸人がグレープカンパニーに来る」と、決して順調なスタートではなかったことを口々に語る2人。それが今では高橋英樹・真麻親娘が所属するまでに成長したが、そこにはサンドウィッチマンの地道な努力があったようだ。
伊達 「後輩への具体的なアドバイスは富澤がけっこうきちんとやってますね」
富澤 「上の人間だからっていう責任感じゃないですけどね。ネタを見て、もうちょっとで芯の笑いに手が届くのに惜しいなあ……というときは、こんなんどう?って提示します。サンドウィッチマン的な意見なので、その子たちに合ってるのかはわかりませんが、力があるのに正解へ届く方法に気づいてないのは、もったいない。僕の意見で、いいコツをつかむ参考にしてくれたらいいなと思っています」
昨年、「好きな芸人No.1」にも選ばれたのは、笑いの質の高さだけでなく、彼らの人柄が画面に現れている証し。事務所を背負う役割は続きそうだが、今後はどんな活動を目指すのだろう?
伊達 「僕ら自身は変わりなく、今までどおりやっていきます。ネットとの関わりとか、時代の流れを採り入れるやり方は無理ですね。そういうのは本当に疎いです。僕も富澤もいまだにガラケーのままですし、SNSはブログのみ。機械に関してはおじいちゃんですよ。新しいことはわからないから一切手を出さないでいきます」
富澤 「いつか、ぽーんといまのポジションを別の芸人に抜かれたとしても仕方ないでしょう。もし、このあと帰ってから死んでも、お笑い芸人的には悔いがないなぁと。充分いい思いしたから、もういいんじゃないのと諦めがつきます。普段から、それぐらいの気持ちで笑いに取り組んでいるということです」
押しも押されもせぬお笑い界のトップスターの2人だが、「休み休み行こうよ」(富澤)と、気負うところはまったく無い様子。富澤は「いずれは売れた若手に食わせてもらいたい」と語っているが、世間は彼らを求め続ける状況は、当分変わらなさそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.142(2019年2月23日発売/太田出版)
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