今年1月、大手コンビニエンスストアが8月いっぱいで成人雑誌の取り扱いを止めることを相次いで発表し、まもなく“エロ本”がコンビニから消える。そこで、風前の灯となったエロ本への感謝と惜別の意を込めて、アダルトメディア研究家の安田理央氏が上梓したのが、7月2日に発売された『日本エロ本全史』だ。
同書は1946年から2018年まで、日本のアダルト誌の歴史を創刊号でたどったもの。日本最大級のアダルト誌コレクターである安田氏が、自身のアダルト誌創刊号コレクションから、エポックメイキングな雑誌100冊をピックアップし、オールカラーで紹介している。同書から、今回は1959年創刊の“日本最初の本格的ヌードグラフ誌”である『世界裸か画報』(編集人:榎本一男 130円)を紹介しよう。
当時は、『100万人のよる』が人気を博し、そこから1959年に姉妹誌として誕生したのが『世界裸か画報』(3号より『世界裸か美画報』 へと改題)。
「こちらは写真も豊富でビジュアル麺がかなり充実。ここからヌード写真などのビジュアル中心の雑誌である『画報』『グラフ』ブームが巻き起こった。これは50年代後半のグラマーブームにも呼応している。肉感的な女性が魅力的とされ、グラマーフォトが人気を集めたのだ。時代はビジュアルを重視する方向へと向かっていった」(『日本エロ全史』より)
という記念すべき1冊だ。
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『100万人のよる』の春の増刊号として発行された『世界裸か画報』が好評だったため、隔月誌として独立創刊された。創刊の言葉に「(前略)本誌は日本で初めて誕生した裸体雑誌第一号です。この一冊さえあれば、日本といわず世界の隅々のハダカ美が、諸君の眼前にあります」とあり、日本初の本格的ヌードマガジンであると宣言している。
確かにほとんどのページにオールヌードもしくはセミヌードの写真がちりばめられており、わずか3年前の『100万人のよる』創刊号がヌード皆無であったことから考えると、その変化の凄まじさに驚かされる。編集後記にも「とくに今年はストリップ劇場をはじめ、ヌードクラブも一大ブームをよぶものと期待されます」などと書かれ、「ハダカ解禁」が一気に進んだ時代であることが読み取れる。
巻頭グラビアの「世界・はだか美・コンクール」はアメリカやヨーロッパなど11カ国の各国女性のヌードに「北欧の女は裸が大好きです。閨房での愛情は誰一人知らぬもののない勇敢さです(スエーデン)」「自己陶酔? 豊満な自分の乳房に悩ましくなってしまうウヌボレ型です(アルゼンチン)」といった解説をつけたもの。さらに「フランス娘のはだか柔道記」「いちどは見たいポンペイの性の壁」など誌名に偽りなしに世界中の性の話題が詰め込まれている。
同年の第3号から『世界裸か美画報』、1961年より『裸か美グラフ』に誌名変更された。
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このほか同誌は、セックスのHOW TO記事や、初心者のためのヌード撮影ガイドなども掲載。その後のエロ本ブームの端緒となる1冊だったことは間違いないようだ。
『日本エロ本全史』(安田理央・著/太田出版)は2019年7月2日発売。3700円+税。
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・日本エロ本全史-太田出版
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