テレビゲームの攻略法と言えば、今ではインターネットの独擅場だが、かつてファミコンが空前のブームだった時代には「攻略漫画」というものが存在した。今ではすっかり廃れてしまったが、当時人気だった攻略漫画はどのように描かれていたのか? 数々の攻略漫画を描いたみなづき由宇氏は、今年4月に発売された『超ファミ漫』(内田名人・著/太田出版)で、こう語っている。
「描き下ろし単行本は『このゲームを描いて』と資料を渡され、サンプルロムでプレイと攻略をしながら約200ページを1か月弱で描くんです。原稿サイズは普段より小さめなので実質量としては100ページ分くらいですが。同時に『わんぱっく』(徳間書店の児童誌)にも16~20ページの漫画を描いていたので、仕事ばかりのかなりハードな生活でしたね」
『グーニーズ』では、攻略だけでなく漫画的にも楽しめる内容にすることに成功したみなづき氏。基本的にメーカーは自由に描かせてくれたものの、こんなミスをしたこともあったそうだ。
「一応、攻略漫画は、メーカーさんに時折チェックを受けながら執筆していたんですけれども、『新・鬼ヶ島』ではゲーム進行上で重要な秘密アイテムをうっかり描いてしまいました。主人公がつけている腕輪だったのですが、後からしっかり修正されています」
この他、ゲームの開発が遅れに遅れてオリジナル漫画になったり、コメディ的な要素を盛り込んだりしたというみなづき氏。難しかったのはページ配分だったそうだ。
「描き下ろし単行本の場合、ゲームを攻略しながらネームを作成していたので長編もののページ配分には苦労しました。『メトロイド』は上手くまとまったのですが、『新・鬼ヶ島 上巻』ではページが余ってしまいまして、穴埋めとして任天堂ゲームのパロディ漫画を描いています(笑)。それでもゲーム自体は大好きでしたので漫画の資料で渡されたゲームはどれも楽しくプレイしました」
ピーク時には1年に7冊の単行本を出したものの、体調を崩してしまったというみなづき氏。ただ、当時については、「今思い出しても夢のような時期ですね」と語っており、その後の漫画家としてのキャリアを歩む上でも貴重な経験だったようだ。
懐かしの「ファミ慢」約150本をレビューした『超ファミ慢』(内田名人・著、2019年4月26日発売)は、全国書店・電子書店で好評発売中。
【関連リンク】
・超ファミ漫-太田出版
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