人類が生きていく上で、必ず向き合わなくてはいけないのが環境問題。毎年、各国の首脳が集まり、環境問題について議論が交わされているが、近年のホットなトピックが「マイクロプラスチック」だ。我々の周りにもプラスチックは溢れているが、ニュースで耳にするマイクロプラスチックとはいったい何なのか? “ごみ清掃員芸人”として話題の「マシンガンズ」の滝沢秀一が、分別についてつづった『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』(太田出版)を8月に発売。同書で滝沢はこのように説明している。
〈こないだ、製造年月日が二十年前のお菓子の袋が土の中から出てきたんだって。この袋は薄いプラスチック製だったんだけど、まるで昨日捨てたみたいにきれいな状態だったっていうから驚きだよね! 普通のプラスチックは地中の微生物が食べて分解できないから、ずっと地球上に残る。このままだと世界中がプラスチックだらけになるんだよ。同じことは今、海でも起こっていて、掃除しても拾いきれない状態なんだ。
じゃ放っておこうか? いや、そういうわけにはいかないんだよ。 なんでかって? 海に流れるプラスチックのごみは年々増えているから、これ以上増やすわけにはいかないんだ。海にあるプラスチックのごみは、存在自体はなくならないけど、波と接触したり、紫外線を含む日光に当たることでボロボロになっていくんだ。最終的には粉々に小さくなっていくけど、決してなくなりはしないから、すごく小さなプラスチックが海を漂いつづけることになる。
それがものすごい数! この小さくなったプラスチックのことを「マイクロプラスチック」というんだ。「小さいなら、いいじゃん?」と思うかもしれないけど、これまたそうもいかない。魚がこのマイクロプラスチックを食べちゃう。そしてその魚をぼくらが食べるから、人間の健康に被害が出るかもしれないと言われているんだ。 だからこれ以上、プラスチックが海に流れないようにしなければならないんだ〉
現在、日本で盛んに議論が行われているレジ袋規制も、これにまつわる話だ。日本中で1年に流通するレジ袋は300億枚以上と言われているが、これが重大な環境破壊を起こしかねないのだ。
〈レジ袋が飛ばされて川に落ちればそのまま海に流されるし、ペットボトルが道路に落ちていれば、車に踏まれて目に見えない程の小さなプラスチックの破片になるんだ。あまりに小さなその破片は雨で下水に流され、小さすぎるために、下水で処理できなくて海に流れちゃうことがある。
(中略)海のプラスチックごみの7割から8割は、陸から流れたごみなんだよ。これは、ぼくらの生活スタイルになってる「使い捨て」という習慣に無理が生じてきているのかもしれない。陸からごみが溢れだして海に流れこんでるイメージ、と言ったらいいのかな……〉
レジ袋やペットボトルは、もはや我々の生活から切り離せないもの。逆に言えば、その2点について気を付けるだけでも、環境に少しは貢献できるということだ。このほか同書は、全50問のクイズで分別のルールが理解できるようになっており、ごみ問題を考えるコラムも掲載されている。『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』は1100円+税。
【関連リンク】
・ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本-太田出版
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