2006年の『時効警察』、2007年の『帰ってきた時効警察』が共に大きな話題となった時効警察シリーズが12年ぶりに復活。現在『時効警察はじめました』が放送されています。今年1月、新シリーズの放送が明らかになると、SNSには往年のファンからの歓喜の声が溢れましたが、今作の物語はいつ頃から準備されていたのでしょうか? シリーズ総監督の三木聡さんは『ケトルVOL.50』でこのように語っています。
「2018年の夏、『音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』の公開より前ですね。会議室でなんとなく雑談しながら企画をスタートさせたのを覚えています。『時効』で使おうと思ってなかったけど、『復活スペシャル』(8月に放送)に登場した美魔王・藤原の設定が自分の中にすでにあったので、『こういうプロットがあるんだ』という話をスタッフにしました。美魔王の方が、霧山(オダギリジョー)や三日月(麻生久美子)の新設定よりも先です」
71歳にして40代の肉体を持つパンチありすぎな強烈キャラ・武田真治さん扮する美魔王・藤原から今作が始まったとは驚き! 「復活スペシャル」という放送形態も、この美魔王によって生まれたそうです。
「『音タコ』公開後に美魔王・藤原の話をロングプロットにしたんですけど……すでにご覧になった方はわかると思いますが、1時間ドラマでは収まらない設定なんです。どう考えても時間が足りないので、スペシャルにしちゃえと。
思い返せば、当初はレギュラー放送の1話だけやるという話だったんですが、美魔王・藤原の話が『復活スペシャル』になったから、1話もそのまま……となり、はじめの2話が僕でスタートする、過去2作と同じ流れが出来上がりました。それに今回は新しい監督陣も参加するので、雛形になるようなものが早めに必要だったし、脚本形態の原稿を2月末には用意していますね。考えてみると、成り行きで始まったくせに動き出しが早い(笑)」
『時効警察』シリーズといえば、溢れんばかりの小ネタが代名詞。しかしながら、「復活スペシャル」や1話を見る限り、そこまで多くない印象です。我々は『時効警察はじめました」のどんな点に着目して見ればよいのでしょうか?
「小ネタやギャグが過去作に比べて少ないのはその通りですね。特に『復活スペシャル』に関しては、2時間ものだから事件をしっかりと描こうっていう意思がありました。(中略)シーズン1とシーズン2の頃は、金曜ナイトドラマでコントがやってみたいって強い気持ちがありました。でも今はコントだけやりたいというわけでもないんです。何でしょうかね、前にやっていたときは40代半ば、今は60歳手前。当然それは変わりますよ。これが観てくださる方にどう影響するかはわからないけど、結果を気にして作ってないからなあ。これだけは12年前と変わってないですね」
今作では『音タコ』で主演を果たした吉岡里帆も新メンバーとして登場。12年という時を感じさせないストーリーは今後も要注目です。
◆ケトルVOL.50(2019年10月16日発売)
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